半導体用語集
クラマース・クローニッヒの関係式
英語表記:Kramers - Kronig relation
媒質の誘電率または屈折率を,周波数を変数とする複素関数で表わした時 (複素誘電率,または複素屈折率という),その実数部と虚数部との間になりたつ関係を表わす式をクラマース・クローニッヒの関係式,略してK-K関係式という。この関係式を用いて,たとえば,複素屈折率の虚数部である吸収係数(または減衰係数)の周波数スペクトルから実数屈折率の周波数スペクトルを求めることができる。また,その逆の操作も可能である。この過程をK-K変換,K-K解析ともいう。この関係は,数学におけるコーシーの積分定理および積分公式から導くことができる。
周波数ωの関数として,複素誘電率をε(ω)=ε₁(ω)+iε₂(ω)(iは虚数単位)と表わすと,実数関数ε₁(ω)とε₂(ω)との間のK-K関係式は次のようになる(下部参照)。
ここで,α(ω)は吸収係数である。この関係式から,吸収係数αのスペクトルからある周波数における屈折率n(ω)が求められることになる。
媒質に入射した電磁波(光)の反射や透過の量から,屈折率や吸収係数を測定しようとする時,反射率や透過率の絶対値と位相変化を測定する必要ある。これらの絶対値と位相変化の間にもK-K関係式がなりたつ。反射率や透過率の絶対値の測定にくらべて,それらの位相変化を測定することは一般的に難しい。このため,反射率や透過率の絶対値のスペクトル(原理的には0から無限大の周波数までが必要)を測定によって求め,K-K関係式を用いることによって位相変化のスペクトルを計算する。さらにこの結果から,複素屈折率または複素誘電率に直し,それぞれの実数部から屈折率のスペクトルがわかることになる。
半導体などの理論解析では,バンド構造などから導かれる吸収係数のスペクトルから,K-K変換により屈折率を求めることが行われている。
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