半導体用語集

ケミカルドライエッチング (CDE)装置

英語表記:Chemical Dry Etching equipment : CDE equipment

(1)ダウンストリームやダウンフローエッチングとも呼ばれ、プラズマ生成部で生じたエッチング種をプラズマの存在しない下流に移送してエッチングする方法である。特に、ケミカルドライエッチング (CDE: Chemical Dry Etching)法は、CF4に02を25%程度添加した混合ガスを1~0.5Torrの圧力で石英管などの絶縁物管に導入し、マイクロ波または高周波)放電をさせると、プラズマのまったくない下流、または離隔した領域でSiが高速にエッチングされる。この原理は、CF4のみプラズマでは、解離したC (炭素)とF (フッ素)がプラズマのないところでは再結合するが、02を添加するとCOや C02を生成し、再結合相手を失ったF原子が遊離して長寿命となりSiと 反応する。このF原子は基底状態にあると考えられている。当初はCF4/02によるゲート材の多結晶Siや、CF4/02/N2、C12またはH2によるSi3N4/Si02の高選択比エッチングに活躍したが、エッチング形状が等方性のため、現在の先端デバイスには適用されていない。しかし、基本的に無損傷のため、CF4に3倍程度過剰に02を添加してえられる平滑加工を利用してトレンチ溝の平滑・洗浄などに用いられている。装置構成は、2.45GHzのマイクロ波導波管の電界と結合するモード(TE10)に石英管、またはアルミナ管を導入し、生成されたF原子を効率よく輸送するため、輸送管はテフロン製であり、約1m程度離れた位置にエッチング室を設け、その中の内壁もテフロンコートをする。F原子とSiの反応確率は約0.1と高く、多数枚のウェハを均一にエッチングするには、F原子を各Siウェハに対して対向して均一に照射する必要がある。
(2)プラズマ発生部で生じた高寿命のラジカルをプラズマ発生部とは分離した領域に輸送して化学反応によるドライな工ッチングを行う方法をケミカルドライエッチングと呼ぶ。1976年に堀池らによって発明され,ケミカルドライエッチング(CDE)と命名された。この方法では、荷電粒子、光、熱が排除されているために、デバイスへの損傷がなく、均一かつ高速にウェハ全面を低温にてエッチングすることが可能である。ここに、CDEによるSiエッチングの一例を示す。石英製のマイクロ波放電管の中に、CF4と02の混合ガスを導入し、マイクロ波(2.45GHz)にてプラズマを発生させる。このプラズマ中では、CF4十0 2 → CO、 CO 2十 COF3およびCOF4 → COF2十2Fの反応を経て、基底状態の長寿命のF原子が発生する。放電領域とエッチング室を輸送管で接続して発生したF原子をエッチング室に輸送することにより、エッチング室に設置したSiを高速にエッチングすることができる。また、エッチングの際、Si表面でケミカルルミネッセンスの蛍光が生じることが見い出され、その検出によって容易にエッチング終点をモニタリングすることが可能である。この方法によりラジカルによる新規ケミストリが創生され、上記Siエッチングプロセスの他、 CF4/02あるいはNF3/H20ケミストリによるレジストの高速灰化、CF4/02/ N2ガスあるいはNF3/C12ケミストリによるSi02に対するSi3N4の高選択エッチング、RIE後のSi損傷層の除去プロセス、Si表面の平滑化プロセス、自然酸化膜の除去などの最先端のULSIプロセスが開発された。また、この方法は、ラジカルと固体表面との相互作用の研究にも利用され、F原子や0原子と材料薄膜の反応から、プラズマエッチングの素過程を解明するうえで重要な知見がえられている。


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