半導体用語集
シリコン単結晶の物性
英語表記:physical properties of single crystal
トランジスタの発明以来、半世紀以上の半導体産業の発展の中でシリコン単結晶の物性の理解と応用は重要な位置を占めてきた。IC、LSIなどの集積回路を形成するために、添加不純物(ドーパント)濃度により、広い範囲の電気抵抗を実現できた点は意義深いが、その背景には材料の高純度化技術が大きく寄与している。一方、シリコンは電気絶縁特性の高い酸化膜(SiO2)が形成でき微細化に役立ち、またシリコンが酸素に次ぎ地球上に広く存在する元素であることも半導体産業の発展とシリコン半導体素子の社会への浸透に有利に作用した理由である。シリコン単結晶は自然界には存在せず、人類が製造した材料の中でも最も高純度で完全性が高く、また最も巨大な単結晶であり、現在では直径300mmものCZ-Siウェハが量産使用目前である。シリコン結晶はほとんど完全な結晶(nearly perfect crystal)といえるが、適切な評価法を用いれば原子空孔や微量の金属不純物を検出できる。工業的に使用されるシリコンはFZーSiよりもCZ-Siの量の方が多く、後者には結晶育成時に石英るつぼからシリコン融液中に溶け込んだ過飽和の格子間Siが約1×1018cm-3存在する。ドーパントや金属不純物も考慮すると、物性の対象とする不純物濃度は1010~1020cm-3と広範囲にわたる。結晶欠陥の物性についても、点欠陥から各種の二次欠陥・三次欠陥までが対象となる。時系列でとらえると、結晶成長前後のバルク単結晶製造段階から、ウェハ・半導体素子の形成段階まで視野に入れる必要があり、ウェハの機械的強度は依然として重要となる。素子製造に提供されるシリコンウェハの設計に当たり、ウェハ形状や比抵抗(ドーパント)などの仕様以外に、酸素・炭素などの不純物濃度や結晶欠陥の物性(積層欠陥・酸素析出物・スリップ・転移などの密度)の仕様が不可欠である。特に酸素析出物はウェハ深部にあればゲッタリングサイトとなり素子領域の金属不純物を低減する利点を有し、欠陥制御技術の対象である。またウェハ表層の酸素析出物や空洞欠陥(grown-in欠陥の一種)は素子の形状異常を招き電気的不良を起こす事実が知られ、その後のウェハ設計に大きな影響を与えている。一般に微量金属不純物や結晶欠陥は、キャリアの発生・再結合中心(g-r center)として電気的特性に関与する。この項目では結晶強度、結晶欠陥と、g-r centerに関係した電気的特性に関連した用語について解説する。
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