半導体用語集

シリコン融液対流

英語表記:silicon liquid phase convection

CZ法によるシリコン単結晶引き上げ時の融液中には、温度差によって発生する熱対流、るつぼ回転や結晶回転による慣性力によって発生する強制対流、表面張力の不均一によって発生するマランゴニ対流の3種類の対流が存在する。熱対流は、融液中に温度分布がある場合に、融液の熱膨張差による密度の不均一が生じ、浮力が生じることで発生する流れである。CZ法では、一般的にるつぼ側面の底部が最も高温になるため、るつぼ底から側面に沿って上昇し、融液表面近傍に到達した流れは、るつぼ中心部に向かう。この流れは連続性を維持するために中心部で、るつぼ底部に向かう流れとなり、ループを形成する。結晶成長への影響を判断する指標としては、グラスホフ数NGRが用いられる。
  NGR=gβR3⊿Tmax /ν2
ここで、gは重加速度、βは体膨張率、νは動粘性計数、Rはるつぼ半径、⊿Tmax は融液中の最大温度差とする。よって、るつぼが大きくなったり、融液中の温度差が大きくなると熱対流が増加し、不安定となることがわかる。強制対流は、るつぼおよび結晶回転によるものがある。これらの回転により融液に慣性力が働き、融液流が発生する。一般的には、るつぼおよび結晶は逆方向に回転させ、るつぼは4rpm程度以上、結晶は10rpm程度以上の速度で回転させる。これらは強制的に規則的な循環流を発生させることで、熱対流によって生じる不安定な流れの影響を小さくする効果があり、特に、結晶径方向の酸素濃度の均一化のためには、適正な回転速度の組み合せをみつける必要がある。結晶回転による強制対流の効果を評価する指標は、レイノルズ数NREが用いられる。 
  NRE = ωγ2 /ν
ここで、ωは結晶の回転速度、γは結晶の半径である。よって、結晶回転速度が高速ほど、あるいは、大口径ほど強制対流の効果が大きくなり、熱対流の不安定性が抑制される。マランゴニ対流は、表面張力不均一によって生じる流れである。駆動力は、融液表面の接線応力Fγとして働く。
  Fγ= (dγ/dT)∇T 
ここで、(dγ/dT)は表面張力の温度計数、∇Tは融液表面の温度勾配である。マランゴニ対流は、熱対流や強制対流に比べてきわめて小さく、重力の存在する地球上での結晶引き上げに際しては、ほとんど無視できると判断される。また、固液界面直下の流れを径方向、周方向、軸方向の三成分に分けて簡略化し、解析的に流れの構造を求める手法をコックランが提唱し、これをコックラン流と呼ぶ。
 
   


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