半導体用語集

スパッタターゲット

英語表記:sputtering target

 スパッタターゲットとは電極・配線、絶縁膜形成のためにスパッタリング法で使用される高純度の薄膜形成材料である。
 ターゲット材は一般的に、①高純度(5N以上)、②高密度、③結晶粒径の均一性、④低パーティクルなどの要件を満足する必要がある。
 配線材料として最も多く用いられているものは高純度のAlおよびその合金(Al-Si、Al-Si-Cu、Al-Cu)である。Alは、Au、Cuに次ぐ低い抵抗率を持ち、絶縁膜との良好な密着性を有している。Cuなどにくらべ耐腐食性もよく、微細加工が行いやすいという特徴がある。
 Si拡散層とのコンタクト形成時のアロイスパイク防止用として、Siを添加したものや信頼性向上のため、微量のCu、Siを添加したAl合金が多く使われている。特に配線材料や後述するバリアメタルにおいては高純度化(アルカリ、アルカリ土類金属の低減)、ソフトエラー対策(放射性同位元素から発生した放射線(α線)により超LSIメモリのデータが書き換わってしまうという不良)への考慮が必要である。放射性同位元素の含有量はppbオーダのものが使われている。新アルミ地金は、その精製工程で大変な電力を使うため、エネルギーコストが安い米国、カナダ、中国、オーストラリア、ブラジルなどで主に作られ、日本は世界最大の輸入国になっている。アルミ市場には6社の大手アルミ精錬メーカー(アルミ市場のメジャー)があり、かつてはこの6社を中心にアルミ市場が動いていた。しかし現在はロシアなどの新生産国の台頭でシェアは落ちている(世界の新アルミ地金の半分近く)。
 バリアメタルはSi基板と配線材料との相互拡散や化学反応を防ぎ特性のよいコンタクトを形成するために両者の間に設ける膜であり、Al/Si系ではTiN、TiW膜などが使われている。
 さらに半導体集積回路においては微細化、高集積化が進むにつれて、ポリシリコンゲートでは電気信号の伝播遅れが発生し、配線抵抗が許容できなくなってきている。この対策として高融点金属およびそのSi化合物(シリサイド)を用いるゲート膜が使われ始めた。このプロセスでは抵抗が1桁低く、かつ高温プロセスにも耐えられる。タングステンシリサイド(WSi₂)、モリブデンシリサイド(MoSi₂)、チタンシリサイド(TiSi₂)などがこれに相当する。高融点金属の成形体をえるには通常粉末冶金法あるいは真空溶解法が利用されている。これらのシリサイドは焼結法により製造されているが、焼結法では結晶粒径を微細かつ均ーにすることで、パーティクルの発生を非常に低減したターゲットが開発・製造されている。また組成の均一性が低いとデポレート、膜厚(シート抵抗)分布の均一性において経時的な劣化を発生させ異常放電に繋がるため、各ターゲットメーカーは、独自の粉末焼結法に取り組み改良・改善を図っている。
 Al/Al合金および高融点/シリサイド系ターゲットの国内での市場規模はほぼ同程度であり、両者で市場の90%以上を占めている。Al/Al合金は、上位3社で80%以上のシェアを占めている。また、高融点/シリサイド系では、上位3社で70%以上を占めている。
 この他に、256M、1GのDRAM向けの容量膜としてはTa₂O₅、BST、PZTなどが有望であり、研究開発が進められている。
 ターゲットメーカー各社およびスパッタ装置メーカーは、スパッタレート、ターゲットの使用効率の向上を図るためにターゲット配向性、厚さ、形状などの工夫を行っている。スパッタ技術は、大面積への均ーな膜形成、シリサイドなどの合金膜の組成制御、高融点金属の成膜が容易である一方、微細化したコンタクト部の側壁や溝内部、それらの角(かど)に一様に成膜することが困難になってきており、CVD技術に移りつつある工程もある。

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