半導体用語集

チップ関連故障解析手法

英語表記:failure analysis methods related to device chips

 図1に示すように故障解析の手順は大きく二つのステップに分けられる。
 第1段階:非破壊的な故障箇所の絞り込み。
 第2段階:絞り込んだ箇所において故障の根本原因を究明するための物理的解析,である。
 ここでいう絞り込みとは数mmから20mm角程度のLSIチップ上で故障箇所を,非破壊で,1µm角程度の領域まで絞り込むことである。これは,面積の比率だけで換算すると,日本全体から30m角程度の領域を探すことに相当する。絞り込みの段階の前にまず,LSIテスタで電気的に機能をテストし,故障が再現するかを確認する。この段階では,対象のLSIの機能をどの程度までテストできているか(テスタビリティ)という重要な問題があるが,ここでの説明は割愛する。図2に第一段階の主なものと第二段階の一部をまとめて示す。故障が再現したならば,絞り込みに入る。まず,光学顕微鏡で外観上の異常を観察する。エミッション顕微鏡で異常発光箇所を探し,液晶塗布法を用いて異常発熱箇所を探し,レーザビーム加熱抵抗変動法(OBIRCH法)で異常電流経路や配線の欠陥を探す。それでも異常箇所がみつからない場合は,手間とコストはかかるが,最もオーソドックスな方法である電子ビームテスタ法で電位の異常を遡ることにより,故障箇所を絞り込む。場合によってはコンピュータ支援法も使いながら,前記の故障箇所絞り込みを進める。以上が大ざっぱにみた故障箇所絞り込みの手順である。
 第二段階の物理的解析では,絞り込まれた領域を破壊もいとわず解析する。解析の内容は,形状,組成,結晶構造などである。解析をするためには電子ビームまたはイオンビームを観測したい箇所に照射する。その結果として照射箇所から出てくるイオン,電子,X線を検知し解析することで,形状,組成,結晶構造などがわかる。ここでは解析の実際の手順に沿って,簡単に説明する。
 表面からだけでは,これらの解析はできない場合が多いので,解析したい箇所の横に穴を掘ることで解析したい箇所の断面を出し,その断面を観察することが多い。このような加工で威力を発揮するのが集束イオンビーム (FIB:Focused Ion Beam)法である。さて,そのFIB法を使って,観察前の処理が終わったならば,各種の観察方法で観察する。観察法によって観察の原理が異なるので,何をみているか,あるいは,どこまで微細なところまでみえるか(空間分解能)が異なる。FIB法そのものも,走査型イオン顕微鏡(SIM:Scanning Ion Microscope)としての機能を持っており,観察の手法として使える。SIMより少し空間分解能のよい走査型電子 顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope),さらには,格段に空間分解能のよい透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)は形状の解析に用いられる。組成の解析を行う手法としては電子線プローブ特性X線解析法(一般に使われている専門用語としてはEPMA:Electron Probe Microanalysis;電子線プローブマイクロアナリシス;または,最近用語としてはあまり使われなくなったが,XMA:X-ray Microanalysis;X線マイクロアナリシスが使われる),オージェ電子分光法(AES:Auger Electron Spectros­copy),二次イオン質量分析法
(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)などが使われる。微細構造や結晶構造を解析する必要がある時には,前述のTEMとFIBが用いられる。物理解析技術は,さらにこれらを組み合わせた方法や,ここでは触れなかった方法もあり,それぞれの手法が持つ特徴によって使い分けるが,ここではその説明は割愛する。


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