半導体用語集

チャージポンピング法

英語表記:charge pumping method

 チャージポンピング法とは,MOSトランジスタのゲート電極にパルス電圧を印加することで,シリコン酸化膜の界面に電子と正孔を交互に注入し,界面準位を介して再結合させた時に生じる電流から界面準位密度を測定する方法である。1×10⁹cm⁻²・ev⁻¹程度まで検出可能である。界面準位密度以外にも,界面準位の捕獲断面積,エネルギー分布,空間的分布などの評価も可能である。
 図1にチャージポンピング法の測定方法を示す。MOSトランジスタのソース・ドレインと基板(ウェル)間に逆方向バイアスを印加し,ゲート電極に蓄積状態と反転状態を繰り返すようにパルスを印加する。パルスとしては,矩形波や三角波が用いられる。ゲート下にチャネルが形成される反転状態の時には,チャネル領域にソース・ドレインから少数キャリアが注入され界面準位に捕獲される。次に反転状態から蓄積状態に変化すると,チャネルを形成している少数キャリアは,ソース・ドレインに引き抜かれるが,酸化膜界面で捕獲された少数キャリアは,基板から供給される多数キャリアと再結合する。この時の基板電流がチャージポンピング電流として観測される。チャージポンピング電流は,界面準位密度,酸化膜面積およびゲート電極に印加するパルスの周波数に比例する。界面準位のエネルギー分布は,パルスの立ち上がり時間または立ち下がり時間の一方を固定し, もう一方を変化させた時のチャージポンピング電流から求めることができる。
 チャージポンピング法は,ホットキャリアによる界面準位増加やゲート酸化膜に対するF-Nストレス,放射線による界面準位の変化量の測定などに用いられている。


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