半導体用語集
テルル化水銀カドミウム
英語表記:HgCdTe
HgTeとCdTeの混晶であり,HgTeの諸性質は以下のとおりである。結晶構造:閃亜鉛鉱構造。格子定数:0.6461nm。バンド構造:直接遷移型。エネルギーギャップ:-0.3025eV(2K),-0.141eV(RT)。スピン軌道分裂エネルギー:0.80eV。有効質量:伝導帯mc*/m₀= 0.031,重正孔帯mhh*/m₀=0.378,軽正孔帯mlh*/m₀=0.028。ルッティンジャパラメータ:γ₁=-18.68,γ₂=-10.19,γ₃=-9.56。比誘電率:ε(0)=21,ε∞=15。フォノンエネルギー:LO=17.1,16.4meV,TO=14.6meV。弾性定数(×10¹¹dyne/cm²):c₁₁=5.97,c₁₂=4.15,c₄₄=2.26。熱膨張係数:4×10⁻⁶/K(RT)。融点:670℃。
HgTeとCdTeはほぼ格子整合しており,混晶を作製した際に格子歪の問題が比較的少ない。HgxCd₁₋xTeのエネルギーギャップ:Eg=-304+0.63T²(1-2x)/(11+T)+1858x+54x²(meV,TはKで与える温度)。HgxCd₁₋xTeの有効質量:伝導帯mc*/m₀=-0.6+19,000(667+Eg)/(1,000Eg+Eg²)(EgはmeVで与える)。このように組成の選択によって,半金属のHgTeからバンドギャップ1.5eVのCdTeまで自由に選択でき,波長2.8~14μmの光伝導型光検出器となる。Cd組成20%程度で10μm帯の赤外線検出器として機能し,77K程度の冷却で使用する。光起電力光検出器はpn接合の暗電流の増加によって特性が劣化するため,格子不整合による欠陥の発生を完全に防ぐ必要がある。このためにはHgCdTe成長膜に格子整合した基板として,CdZnTe基板が用いられることもある。このようにして赤外線検出器として実用化され,現在も研究開発が進められている。
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