半導体用語集

ニ段階拡散

英語表記:two step diffusion

 各種の半導体の素子を作成するためには,素子の幾何学的な形状・寸法の制御ができるとともに,半導体各層のドナーあるいはアクセプタ濃度が高濃度から低濃度まで設計どおりに制御できる必要がある。
 半導体結晶に不純物原子を導入する方法の一つとして,熱拡散技術は半導体素子の作成に必要な基本技術の一つであり,従来から広く用いられてきた。熱拡散法で形成した拡散層の不純物表面濃度は拡散温度における熱平衡濃度によって決まるため,高濃度層を制御性よく形成するのに適している。熱拡散法で低い表面濃度のドナーあるいはアクセプタを導入する場合は,拡散工程を次のように二段階に分けて行われる。
 まず第一の段階では不純物を一定量含む薄い拡散層を形成する。この工程はプリデポジションと呼ばれる。プリデポジションでは,拡散層の不純物表面濃度を拡散温度における固溶度に等しく一定に保って拡散を行う。このため,単位面積当たりに導入される不純物量を拡散時間で再現性良く制御できる。
 第二の段階では,プリデポジションで半導体表面に導入された不純物の量を一定に保って半導体内部に深く移動させる。この工程はドライブイン拡散と呼ばれる。ドライブイン工程では,プリデポジション時に形成された不純物を大量に含む酸化膜を除去した後に,改めて表面に清浄な薄い酸化膜を形成し,半導体表面から不純物が外部に逃げるのを防ぐことにより,導入された不純物量を一定に保ったまま拡散が行われる。すなわちドライブイン拡散では,プリデポジションで表面に導入された不純物の総量を変えることなく,半導体内部に向かって不純物を移動させ,不純物の濃度分布を変化させる。この時表面濃度は拡散時間とともに低下し,不純物の移動距離は増大する。
 熱拡散法による低濃度層の形成は制御性に劣るため,近年では制御性が要求される工程にはイオン注入法による不純物導入が行われている。


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