半導体用語集

バンド内電子緩和

英語表記:intraband electron relaxation

 バリア層から注入されたり、光により励起された高エネルギーのキャリア が徐々にエネルギーを失い、熱平衡状態である伝導帯の底(正孔なら価電子帯の項上)に緩和していくことを意味する。エネルギーの放出には非弾性散乱が必要であり、高エネルギーで最も効果的な非弾性散乱はLOフォノンの放出である。たとえばGaAs中の高エネルギー電子は、LOフォノンの放出を繰り返し100fs(フェムト秒)台の高速で緩和する。実験的には緩和の様子は、短パルスレーザで励起したフォトルミネセンスの立ち上がり時間などから評価することが多い。半導体量子ドット構造でキャリアが零次元に閉じ込められると、状態密度分布がデルタ関数的になるため、理論的には零次元準位の間隔とLOフォノンエネルギーが一致しない限り、LOフォノンによるエネルギー緩和は不可能になる。この現象をフォノンボトルネックと呼び、この現象が生じると注入されたキャリアが緩和されず、発光特性に大きな影響が出ることが予想される。この量子ドットのフォノンボトルネックの有無については、現在まで明確な実験はなく、まだ結論は出ていない。なお、エネルギー緩和は非弾性散乱確率が大きいほど促進されることになり、緩和速度は移動度が小さいシステムほど速くなる傾向を示す(「フォノン散乱」の項参照)。

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