半導体用語集

バンド間トンネル

英語表記:inter-band tunneling

 禁制帯を挟んだ伝導帯と価電子帯間の電子のトンネルをバンド間トンネルという。これはp⁺n⁺の高濃度pn接合において、高濃度ゆえに空乏層幅が狭く電子がトンネル効果で価電子帯にぬけてしまう現象で、通常のpn接合ダイオードとまったく異なるI-V特性がえられる。このバンド間トンネル現象は1958年にL. Esakiにより報告されたもので、負性抵抗を示すこのダイオードをトンネルダイオード、または江崎ダイオードという。このダイオードのI-V特性はバンド間トンネルに支配され、その振る舞いはユニークである。まず、逆方向では逆方向電圧印加により実効的なバリア幅は狭くなり、価電子帯から伝導帯へ(p⁺からn⁺へ)電子がトンネルしほぼ直線的に増大する逆方向電流がえられる。V=0では当然電流は0であるが、順方向でもVが小さい時は、伝導帯から価電子帯に電子のトンネルが起こり順方向電流が流れる。ところが順方向バイアスをさらに大きくすると、伝導帯の電子が浸み出す先の価電子帯の状態密度が減少し電流が減少し始め、ついには伝導帯の電子の浸み出し先が禁制帯となり電流は抑制される。すなわち、このダイオードは順方向において負性抵抗が観測され、トンネル電流は近似的に I≈Ip(V/Vp) exp(1-V/Vp) で示される。ここで、Ip、Vpはピーク電流、電圧値である。なお、順方向のバイアスをさらに大きくしていくと、バンド間トンネルではなく通常のpnダイオードと同様の熱励起電流が流れる。

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