半導体用語集

バーティカルオートドーピング

英語表記:vertical autodoping

エピタキシャル成長中に基板外に放出されたドーパントが再びエピタキシャル成長膜中に取り込まれることをオートドーピングというが、特に基板から深さ方向(垂直方向)へのドーピングに対してバーティカルオートドーピングという。高濃度基板上のエピタキシャル膜のドーパントの深さ方向分布を測定すると基板から表面側に向かって、ドーパント濃度がシャープに低減する部分と、それに続く緩やかに低減する部分、および一定にドーピングされた領域に分かれる。このうち、シャ ープな部分は固相拡散によるもので、緩やかに低減する部分がバーティカルオートドーピングによる。バーティカルオートドーピングは基板中のドーパ ント種、エピタキシャル装置、エピタキシャル条件などによって影響を受ける。ドーパントはp型ではBが、n 型ではSb、As、 Pが用いられるが、 バーティカルオートドーピング抑制の観点からはSbの使用が望ましい。しかし、SBはSi への固溶限が小さく、パワーMOSのようなオン抵抗低減化 のために低抵抗基板を必要とするデバ イスでは、固溶限の大きいAsが使われるようになってきている。Asのオートドーピングは成長温度が高いほど低減し、成長温度が~1,050℃以下になると10~100×1015 atoms/cm3にも達する。また、減圧下での成長でも低減し、1/10気圧程度の減圧成長で顕著な効果がえられている。Sbの場合 も成長温度,圧力に対し As と同様な 傾向を示すが,Asより依存性は少ない。これらと逆に、Bのオートドーピングは成長温度が高いほど、また成長圧力が低いほど増加する傾向にある。 オートドーピングには装置依存性もあり、縦型エピタキシャル装置がシリンダ型エピタキシャル装置より、オートドープを抑制しやすく、特に高抵抗領域で顕著である。これはシリンダ型ではランプ加熱のため裏面エッチングさ れやすく、裏面からドーパントが放出されるからである。オートドーピングは制御されたドーピングではないため、ドーパント、エピタキシャル装 置、成長条件の最適化で可能な限り低減することが必要である。


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