半導体用語集

パイルール

英語表記:π rule

 DRAMの価格推移を振り返ってみた時、1970年から1985年までの間、各世代の単価はほぼ同じ経過をたどって下降している。それぞれの世代の出荷の最盛期を過ぎて収束してくると、単価がだいたいπ/2 (1.57) ドルになった。この経験則を「π(パイ)ルール」という。また、同じ期間、総ビット数は毎年2倍のペースで伸びた。このペースで伸びると、10年間では約1,000倍になる。1チップに搭載されるビット数は3年で4倍であるから、換算すると年率平均59%、10年で100倍の1チップ当たりビット搭載率の伸びとなる。したがって、平均チップ単価を一定におき、ビット数が仮りに10年で100倍になるとすれば、平均ビット単価は10年で100分の1に低下することとなる。
 10年1,000倍で総ビット数が伸びている間は、3年4倍、10年100倍の世代交代だけでは総ビット需要の伸びに追いつかず、この間DRAMの数量は増加し、金額成長率も等しく伸びていった。しかしながら、この倍々ゲームも総ビット数の伸び率の鈍化が始まった1985年以降は、こうした幾何学的な成長は終焉を迎えたといえ、実際この法則が当てはまるのは64 kビッ卜か256 kビットまでであり、チップの年間総出荷のピークは約10億個であり、以後の数量成長はほとんどなかった。
 しかしながら、こうして数量の成長が止まってしまうと、チップ単価が値上がりしないと金額市場の成長がなくなってしまう。これではメモリビジネスはなりたたなくなってくることから、最近では「パイルールからバイ (bi(倍))ルールヘ」ということが垂井東京農工大名誉教授より提唱されている。つまり、世代ごとのチップ単価を倍にしようという動きであるが、現実にはユーザーヘの不利益にもなるし、需給環境の悪化もあることから、現実には必ずしもそうした提案どおりにはなっていない。

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