半導体用語集
フィックの法則
英語表記:Fick'slaw
固体結晶中において不純物原子が拡散する際の流れ量(拡散方向に垂直な単位面積とに対し、単位時間当たり)Jは、その場所(Ⅰ次元でxとする)での拡散する原子の濃度Cの勾配に比例し、
【数式①入る】
と表される。この比例定数Dを拡散計数という。不純物原子の濃度Cは、場所xおよび時間tの関数で、C=C(x、t)であり、この式はフィックの第一法則と呼ばれる。固体結晶中における連続の式(𝜕J/Jχ=ー∂c/∂t )と組み合わせると
【数式②入る】
となる。この式は、フィックの第二法則と呼ばれる。拡散係数D が濃度に対し一定の場合には、
【数式③入る 】
と書き表せる。このフィックの拡散方程式を初期条件と境界条件を与えて解くと、C(x、t)を求めることができる。たとえば、表面濃度が一定の場合にはC(x、t)は補誤差関数分布で、また、不純物量一定の場合にはガウス関数分布で与えられる。しかし、Si中のドーパント拡散においては、ドーパント濃度が非常に高いことが多く、拡散係数を濃度の関数として取り扱わなければならない。この時には拡散方程式を差分方程式に変換し、適当な拡散係数D(C)を与えて数値計算によりC(x、t)を求め、実験的に求められた濃度分布とフィッティングさせて、D(C)を決定する。なお、拡散係数が濃度に保存する場合でも、一定の条件、すなわち濃度Cが で規格化出来る場合には、拡散係数は、
【数式④入る 】
で表わされる。この式より、実際の濃度分布から各濃度について面積(分子)と勾配(分母)を計算し、拡散係数を求めることができる。この方法をBoltzmann-Matano法という。
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