半導体用語集
ポリサイド膜
英語表記:polycide film
多結晶シリコン上に金属シリサイドを重ねた構造の電極をホリサイド電極という。主にゲート電極や多層配線の下層配線に用いられる。一般に、金属シリサイド膜は成膜した状態では非品質であるため、~900℃の熱処理を加えて低抵抗化する。ゲート電極配線においてゲート絶縁膜上にシリサイド膜を直接形成した場合には、この熱処理時に発生するシリサイド膜の応力や組成変化がゲート酸化膜の耐圧劣化やトランジスタ特性の変化を招くおそれがある。このため、ゲート絶縁膜上に多結晶シリコン膜を形成した後に金属シリサイド膜を形成して、シリサイド/ 多結晶シリコンの2層構造にしている。さらに、多結晶シリコン層はシリサイド膜中の不純物のゲート酸化膜への拡散や、スパッタリング法によるシリサイド膜成膜時のプラズマダメージなどを防止する効果を持つ。これらの点から、一般にシリサイド膜厚と同等か、厚い膜厚の多結晶シリコンが用いられる。MOSFETの電極材料としては通常多結晶シリコンが用いられてきた。しかし、抵抗が高く配線遅延を招くという欠点がある。このため、多結晶シリコンより抵抗が低く、耐熱性に優れている金属シリサイド膜がゲート電極材料として使用されてきている。
また、最近ではさらに抵抗が低い高融点金属を用いた高融点金属ゲートの開発も進んでいる。エッチングプロセスとしては、2層になっているポリサイド膜のエッチングでは2ステップエッチングが必要になるなど、より難しいプロセスとなる。多結晶シリコンは塩 素系ガスおよびフッ素系ガスでエッチングが進行するが、方向性エッチングを行うためには主に塩素系ガスが用いれる。一方、高融点金属はモリブデン、タングステンともにフッ素系ガスでエッチングされるため、ガスを混合するか2ステップでエッチングするなどの方法が必要となる。高融点金属エッチングにおいても方向性、選択性を満足することは大きな課題となっている。
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