半導体用語集
マイケルソン干渉法
英語表記:Michelson interference method
マイケルソン干渉法は入射光をビームスプリッタで二つに分け、固定鏡と可動鏡で反射させた後再び合成し干渉させる方法(図1)で、その機構の単純さから2光束干渉法の主流になっている。半導体分野へはSiウェハ中の格子間酸素濃度の測定や、エピタキシャル膜厚測定を評価するFT-IRなどの評価技術として応用されている。ここでは FT-IR法によるエピタキシャル膜厚の測定を例に説明する。原理は赤外干渉法と同じである。光源から出た光をマイケルソン干渉計に導入し、 光をビームスプリッタで2光束に分け、一方を固定鏡(光束A)、他方 (光束B)を可動鏡で反射させて、A、Bを干渉させると、光路差が波長の整数倍で強め合い、半波長ずれると弱め合う。可動鏡を一定の速度で移動させると、光束AとBの光路差が時間的に変化するため、干渉計から出る 合成光の強度の時間変化は周期関数状になる。実際の光源では波長に分布があるため、その分布をF(x) (レは波 数)、AとBの光路差をxとすると、マイケルソン干渉計より出る赤外線強度1はxの関数となり、I(x)=∫F(ν)(1 + cos 2πνx)dν(1) である。光路差が0の場合はAとB の位相が一致するπνため、強度は最大に なる。光路差が0から離れると各波長の赤外光が干渉するため、強度は急速に減少する。1(x)の変調成分を示す2 項目の式はインタフェログラムと呼ば れる。マイケルソン干渉計を出た光束A、Bをエピタキシャル成長膜に照射 するとおのおの一部は表面、残りは基 板/エピタキシャル界面で反射する。 基板表面で反射された光束AとB、および界面で反射されたAとBでは 光路差が0なのでマイケルソン干渉計 から出た時点での位相を保持する。し たがってこれらの反射光の赤外光強度 のに対する依存性は式(1)で与え られ、これら反射光強度は光路差がな %3D0で最大になる(センタバースト)。 基板表面で反射された光束Aと界面 で反射された光束B,またはその逆の 場合はAとBに光路差があるために位相がずれ、x=0では最大にならず、光路差による位相のずれを補償するxで位相が揃い、強度が増加する(サイ ドバースト)。表面反射光と界面反射 光の光路差はエピタキシャル膜厚、入 射角、屈折率に依存する。エピタキシャル膜厚評価では入射角を一定にすれ ば,屈折率は同じとみなせるため,膜 厚によりサイドバーストの位置が変化 することになる。逆にサイドバーストの位置が分かれば、計算により膜厚を評価できる。サイドバーストの情報は 1(c)に含まれるが,これの解析にフーリエ変換を用いる。マイケルソン干 渉計はフーリエ変換を組み合わせた装 置はFT-IRといい、測定精度、再現 性がよく,非破壊検査のため検査後の ウェハをプロセス工程でそのまま使用でき、工程内で一般的に使用されてい る。
測定用の赤外ビームの直径は一般的 に4~6mm であるが,顕微鏡と組み 合わせ,より微小な領域を評価する装 置も市販されている。また、ウェハ搬 送の自動化,測定ポイントの多点化 (ウェハ面内数 100点)と、ウェハ全 面におけるマッピング表示により、エ ピ厚分布とデバイス特性分布との突き 合わせも可能となっている。
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