半導体用語集

モード同期

英語表記:mode-locking

 レーザが多モードで発振する時、特別にモードの制御を行わない限りは、各モードの振幅や位相関係は複雑に時間変化し、出力光はランダムなゆらぎを示す。しかし、共振器の中に非線形素子を挿入してモード間の結合を強くすることにより、各モード間の位相関係が保たれるようにすることができる。これをモード同期、またはモードロックという。
 モード同期を実現する手法には、能動モード同期(強制モード同期)と受動モード同期(自己モード同期)がある。能動モード同期では、共振器内に変調器を挿入し、共振器長などで決まるモード間隔、つまり光が共振器を周回する時間の逆数で変調する。変調によって発生するサイドバンドが隣接するモードに重なるためモード間の結合が起こり、位相関係が固定され、モード同期が実現される。受動モード同期では、非線形な吸収係数や屈折率を持つ媒質を共振器に挿入し、共振器内部の光電界に対して引き起こされる変調効果によってモード同期が実現される。
 完全なモード同期が実現された状態では、各モード間の周波数の差が等しく、モード間の位相関係が保たれているため、光強度の時間波形はモード間隔周波数で繰り返すパルス列になる。これは、各モードの光電界の干渉により光強度のパルス列ができているためであり、各モードの振幅が互いに強め合う瞬間がモード間隔の逆数で決まる時間ごとに現われることから理解できる。この時のパルス幅は、モード同期が実現されているスペクトル幅(モード間隔×同期しているモード数)の逆数程度になる。超短パルス発生の標準的な方法として非常に重要である。


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