半導体用語集
リン化ガリウム
英語表記:Gallium Phosphide : GaP
ガリウム(Ga)とリン(P)からなる化合物で,ガリウムリンとも呼ばれている。閃亜鉛鉱型の立方晶系に属する黄褐色の結晶である。分子量は100.69,格子定数は0.5451nmである。融点は1,465℃で,室温での熱膨張係数は5.3×10⁻⁶/℃である。また,比誘電率は8.4で,電子親和力は約4.3eVである。0Kおよび室温での禁制帯幅はそれぞれ2.4eV,2.25eVと広いが,間接遷移型の半導体である。しかし,電子-正孔再結合による発光が強く,また添加する不純物によって発光波長を変化することが可能である。たとえば,窒素(N)を添加すると緑色の発光を示し,酸素(O)と亜鉛(Zn)を添加すると赤色の発光を示すので,発光ダイオード(LED)⋆として広く利用されている。AlGaInP系の半導体レーザはGaAsに格子定数を合わせる(格子整合)ことが可能で,発振波長が0.6mm帯の赤色の光を出すレーザとして研究されている。この場合,活性層にGa₀.₅In₀.₅Pを用いたものが基本となっているが,この三元混晶に関し奇妙な現象がみつかっている。一般に混晶の組成が決まれば一義的に禁制帯幅が定まるものとされているが,この混晶は作製条件に依存して発振波長が660~690nmの間で変化する。この原因についてはGaとInの配列状態が作製条件によって変化するためであると考えられている。GaPは常温での電子移動度は約 200cm²/Vsと小ざいので,それ自体は高速の電子デバイスには適さないが,AlGaAs/GaAs系のHBTの短所を補う形でInGaP/GaAs系HBTが提案されている。これはエミッタにInGaPを用いた構造で,作製プロセスにおいて改善がみられるだけでなく,ローノイズになるなどの期待がある。
⋆ 発光ダイオード(LED);Light Emitting Diodeの略である。pn接合に順バイアス(p側に+,n側に-)の電圧を印加すると,p領域に電子がn領域に正孔が接合部を通して注入され,それぞ
れの領域に多く存在する正孔および電子と再結合して光を放出する。この場合,電子と正孔が直接再結合するものと,不純物準位を介して行われる場合とがある。
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