半導体用語集
レジストの種類と感光機構
英語表記:resist materials and photosenSitive mechanism
フォトレジスは露光波長によりg線レジスト、i線レジストdeepーUVレジスト、KrFエキシマレジスト、ArFエキシマレジストに分けられ、さらにそれぞれポジ型とネガ型に分けられる。また、ポジ型はパターン形成するために露光部の現像液に対する溶解性を増大させる必要があり、その感光、機構は、(1)溶解禁止剤により現像液に不溶化させた膜を露光によりアルカリ可溶とするもの、(2)極性変換を利用するもの、(3)分子量低下による溶解度差を利用したものが主なものである。ネガ型はパターン形成するために露光部の現像液に対する溶解性を低下させる必要があり、その感光機構は(4)架橋による分子量増大を利用して溶解性を低下させている。以下、代表的なものを説明する。(1)の溶解禁止剤を用いたものとしてジアゾナフトキノン感光剤レジストがある。このレジストはg/i線フォトレジストで用いられており、フェノールノボラック樹脂とジアゾナフトキノン感光剤によって構成されている。ナフトキノン感光剤はフェノール樹脂と混合することにより溶解禁止剤として働き、フェノール樹脂のアルカリに対する溶解速度を低下させる。このナフトキノン感光剤に光照射すると、ジアゾ基が脱離し中間体ケテンを経た後、水と反応してインデンカルボン酸を生成する。このインデンカルボン酸はアルカリに溶解し易く、また溶解促進効果を持つため、フェノール樹脂のアルカリに対する溶解速度を向上させる。これらの性質をポジ型レジストでは利用している。また、ジアゾナフトキノン感光剤は、露光によりジアゾ基が脱離しインデンカルポン酸になると300nm以上の吸収ははとんどなくなるという光ブリーチ効果を有する。 この特徴の結果、比較的基板の反射率が高い基板上でも良好なレジストパターンが形成される。 (2)の極性変換を利用する場合、 溶解コントラストが大きくなるため、高解像性が期待できるものの露光のみでは十分な反応が生じるものがなく、実用的なレジストはなかった。しかしながら、酸触媒による増幅反応を使った化学増幅レジストによって、材料選択の範囲が広がるとともにはじめて実用的なものがえられた。極性変換を利用した化学増幅レジストは、高感度、高解像性が容易にえられるため, KrFレジストおよびArFレジストとして多数のものが開発されている。一例を図1および図2に示す。(3)の分子量低下による溶解度差を利用したものとして、光照射により高分子主鎖が分解するものが使われている。最も効率よく分解を生じるのはケトン構造を高分子鎖に導入した樹脂であり、Norrish反応によって開裂する。DeepーUv用レジス トとしてPMIPK (ポリメチルイソプロベニルケトン) 樹脂と増感剤を組み合わせたものがある。(4)の架橋による分子量増大を利用したものは、露光波長によらずネガレジストの重要な感光機構の一つであるが、膨潤をいかに抑えるかが最大の課題である。また、用いられる材料は露光波長の変遷とともに変化している。環化ゴムレジストはg線用ネガ型フォトレジストである。環化ゴムに架橋剤としてビスアジドを添加して構成されている。光照射によりアジドが分解し生成したナイトレンが環化ゴム内の二重結合と反応して架橋反応を生しネガパターンを形成するものである。當着性がよいため、ウェット工ッチングには広く使われていたが、ドライエッチングの出現とともにジアゾナフトキノン感光剤レジストに置き換わり、現在でははとんど使われていない。Deep-UVレジストとしてポリビニルフェノールにビスアジドを架橋剤として組み合わせたものが提案されている。ポリビニルフェノールが現像液に対して表層部から溶けていくため膨潤がはとんどみられず、非膨潤型レジストとして知られている。KrFレジストとしてはポリビニルフェノールに架橋剤としてメチロールメラミン誘導体、酸発生剤としてハロゲン化合物を添加したものが主流になっている。化学増幅レジストであるため、高感度で容易に高い架橋密度をえることが可能てあり、膨潤も小さく、高解像性を達成している。
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