半導体用語集

中性ビームエッチング

英語表記:neutral beam etching

プラズマエッチングにおいて、電子密度が1010/cm3程度のプラズマを想定すると、基板表面に流入するイオン電流は約0.1mA/cm2であり、すなわち約10ー4C/cm2の荷電粒子密度に曝らされることになる。一方、酸化膜の絶縁破壊を起こす電界強度を8 MV/cmとすると、その破壊時の単位面積当たりの蓄積電荷量は約10ー6C/秒なので、通常プラズマエッチングによって酸化膜が必ず破壊されることになる。しかし現実はデバイスが作られている。これは、プラズマプロセスでは、高周波の一周期の大部分に正イオンが被エッチング基板を衝撃し、その正にチャージアップした表面を数nm秒で流入する電子が中和しているからである。しかし、外界から、たとえば磁場などでその均衡が崩れると一瞬にして破壊を招く。また、高アスペクト比構造がゲート部と接続されていると、電子は上部に捕獲され、正イオンは低部に侵入すると荷電分離が起こり電子シェーディング効果によるゲート絶縁膜が起こる。また、 被エッチング基板上で、プラズマ密度に粗密があると、イオンや電子が導電体のSi基板を通して流れる際、酸化膜がSi表面を覆っていると、荷電粒子がある量以上に流れると破壊を起こす。他にも様々なチャージアップによる酸化膜の静電破壊現象があり、これらは、別項で詳しく説明されている。したがって、静電ダメージはプラズマプロセスでは必然であり、根本的に解決するためには将来的には、中性ビームを用いたエッチング法の確立が要求される。現在以下に示すような種々の試みが行われているが、いずれも小面積、低エッチング速度にとどまっている。300mm径のウェハのエッチングに対して、グリッドレス化、運動量付加法、高ビーム束化、高コリメート化などの問題の解決に対してほとんど実現性がなく、現在のプラズマエッチングにとって代わるためには、具体化を前提とした方法を今後研究されなければならない。


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