半導体用語集

中性粒子質量分析法

英語表記:SNMS: Sputtered Neutral Mass Spectrometry

 中性粒子質量分析法は,真空中において,収束された高速のイオンビームを固体試料の表面に照射し,スパッタリング現象により試料表面から放出された粒子のうち,電荷を持たない中性な粒子(中性粒子)を,何らかの方法によりイオン化し,生じたイオンを質量分析器により質量分離し,検出する分析法である。主に,半導体試料などの表面に存在する元素の定性・定量分析に用いられる他,スパッタリングにより試料が削られることを利用して,深さ方向の元素濃度分布の分析にも用いられる。類似した分析法に二次イオン質量分析法がある。
 二次イオン質量分析法ではスパッタリング時に発生したイオン(二次イオン)を検出するのに対して,中性粒子質量分析法では,二次イオンにくらベ,元素種や試料組成の違いによる量的変動が小さい中性粒子を検出するため,信号強度の元素・試料依存性が小さく,より正確な分析結果がえられる。中性粒子のイオン化は,スパッタリング後に行われることから「ポストイオン化」と呼ばれる。
 ポストイオン化には,電子(熱電子,プラズマ,電子ビーム),光(レーザ光,放射光),熱などがこれまで用いられてきたが,現在はレーザ光,プラズマ,それぞれを用いる方法が主流である。レーザ光を用いる方法は,単光子イオン化法,共鳴イオン化法,非共嗚イオン化法に分類されるが,いずれも一般にパルスレーザを用いており,レーザが発光している時間(一般に,数10ns程度)に限定すればイオン化確率はほぼ100%ときわめて高い。一方,プラズマを用いる方法はイオン化確率は低いが,レーザの場合と異なり,連続的にイオン化が可能であるという特徴を有する。
 中性粒子質量分析法は,信号強度や装置の簡便性,価格などの総合面で現状の二次イオン質量分析法に及ばず,利用範囲はいまだに限定的であるが,特にレーザを用いる方法は,レーザの発達や透過率の高い飛行時間型質量分析器との結合による発展余地を多く残しており,半導体素子の極浅接合やヘテロ界面における元素の濃度分布を高感度,かつ正確に評価する分析法として期待されている。


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