半導体用語集

光散乱トモグラフ法

英語表記:light scattering tomography

 半導体内部に侵入した光は欠陥で散乱を受ける。この散乱光をモニタして半導体内部の欠陥分布を断層像として観測する手法が光散乱トモグラフ法である。比較的最近開発された手法である。
 半導体内部の欠陥を検査するのであるから,入射光(照明光)は半導体の基礎吸収端よりも長い波長を有する,すなわち半導体を透過可能な波長を有するレーザ光を用いる。一般的にはHe-Neレーザ(波長:1.15µm)またはYAGレーザ(波長:1.06µm)を用いることが多い。レーザ光は収束レンズで集光され半導体に照射される。半導体内部で散乱された光はその上方で対物レンズを通して赤外線カメラまたはフォトダイオードアレイで検出される。入射光方向に対して散乱光を90°の角度から観測していること(90゜散乱光学系)となる。したがって限界顕微鏡と類似の照明である暗視野照明となり,コントラストの高い散乱像が得られる。
 照明光を半導体内部で走査させるには試料を固定してレーザ光を移動させる方法とレーザ光を固定して試料を動かす方法がある。後者の方が照明光束を検出系の光軸に固定することができるため,散乱ベクトルを一定に保つメリットがある。具体的には試料を光源の光軸方向と検出系の光軸方向に移動しながら散乱光を測定し,画像処理を行うことにより欠陥分布の断層像を得る。
 GaAs,InPなどの化合物半導体の転位観測やSi中の酸素微小析出物の観測に適用されている。特に後者の応用例では酸素析出物の密度・サイズ・分布などが熱処理の関数として評価されており,エッチピット観測法に代わる重要な評価手段となり始めている。


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