半導体用語集

光起電力効果

英語表記:photo-voltaic effect

 pn接合やショットキ接触などにおいて,半導体中に空間電荷による電界が作られている領域に光を照射し電子,正孔を生成すると,電子,正孔はその電界から力を受けて空間的に分離する。この結果空間電荷分布が変化し,接合の両端に電位差を生ずる。この電位差を光起電力といい,この効果を光起電力効果という。これを用いて,光のエネルギーを電気エネルギーに変換する素子を光電池,あるいは太陽電池と呼ぶ。また,接合にあらかじめ逆方向バイアス電圧を印加する場合には,生成した電子,正孔により逆方向電流が増加し,光エネルギーを電流として検出できる。このような効果を利用した素子をフォトダイオードと呼ぶ。いずれも内部光電効果に分類される。
図1(a)はpn接合のバンド構造を示す模式図である。光照射のない時,接合近傍では電子と正孔が排除され空間電荷領域(空乏層)が形成され,電界が発生し,p領域とn領域のフェルミ準位が一致する。ここで入射した光を吸収して電子,正孔が発生すると,電子,正孔が空乏層電界により空間的に分離し,図1(b)のようにフェルミ準位を変化させ電圧が発生する。
 図2はpn接合の電流-電圧特性の模式的グラフであり,光照射のない場合と光照射のある場合を比較している。ここで,第四象限では正の電圧に対して負の電流が流れ(負の抵抗),光起電力効果があることを示している。pn接合の両端に負荷抵抗(図2に示す負荷直線)を接続すると,バイアス電圧の印加がなくても光照射時に
電流が流れ電力をえることができる。これが光電池,または太陽電池の原理である。pn接合を短絡した時電圧0となり,その時の電流Iₚは量子効率η,入射光電力P,フォトンエネルギーhᵥ,単位電荷eとしてIₚ=ηeP/hᵥとなる。一方,pn接合を解放して電流0とした時の電圧Vₚ=(kT/e)1n(1+Iₛ/Iₚ)となる。ここでkはボルツマン定数,Tは温度,Iₛは逆方向飽和電流である。
 太陽電池に用いられる半導体は,Siが主流であり,単結晶,多結晶,またはアモルファスの形で用いられている。さらに,GaAs,InPなどのⅢ-Ⅴ族化合物半導体や,カルコパイライトなどが高効率の太陽電池として研究されている。
 なお,逆方向バイアス電圧に対する第三象限では,光照射時に逆方向電流が増加し,逆方向飽和電流(この場合,暗電流という)との差の電流は光電力に比例する。これがフォトダイオードの原理であり,光信号の検出に用いられている。


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