半導体用語集

単電子素子

英語表記:single electron device

 非常に微小なトンネル接合では、電子が1個トンネルすることによる静電エネルギーの増加量が熱励起エネルギー(kT程度、ただしkはボルツマン定数、Tは絶対温度)よりも十分大きくなる場合があり、この時電子のトンネルは抑制される。これをクーロンブロッケードといい、この現象を利用して動作する素子を単電子素子という。
 代表的な単電子素子としては単電子トランジスタや単電子メモリがある。単電子トランジスタでは、適当な電圧をゲートに印加して、クーロンブロッケードによりソース・ドレイン間に電流が流れない状態と、ブロッケードが解除されて電流が流れる状態を実現する。通常のトランジスタとは電気的特性が大きく異なるため、単電子トランジスタを用いた独自の論理回路が考案されている。単電子トランジスタは、消費電力が非常に小さいという特徴を持つ。また単電子トランジスタを高感度な電荷センサとして用いる研究も進められている。単電子メモリでは電荷蓄積ノードの電子数を1個づつ制御する。このため電子1個で1ビットの情報を記憶することも可能となる。
 その他の単電子素子としてはターンスタイル、ポンプなどがある。これらの素子は高精度な電流源として用いることができ、電流標準への応用が期待されている。
 クーロンブロッケードを起こすためには、温度を下げるか、トンネル接合の面積を小さくしなければならない。たとえば室温でクーロンブロッケードを起こすためには、数ナノメートルのサイズのトンネル接合が必要となる。このためほとんどの単電子素子は低温で実験が行われている。

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