半導体用語集
原子吸光分光法
英語表記:AAS: Atomic Absorption Spectroscopy
基底状態の原子による光吸収を用いた高感度元素分析法である。試料を炎(フレーム)中に噴霧して加熱したり(フレーム法),炭素炉などを用いて加熱すると(フレームレス法),元素が基底状態の原子に解離する。ここに,ホローカソード放電管,あるいは水銀やアルカリ金属など,低沸点元素の蒸気を含む放電管からの光を照射すると,目的元素と同種の元素からの共鳴線が吸収される。これによりあらかじめ目的とした元素の検出と定量が行われる。基底状態の原子濃度を測定するので,他の元素の存在による影響(化学結合による影響など)が少なく高感度分析が可能である。アルカリ金属,アルカリ土類金属,Cu,Zn,Cd,Hg,Agなどの検出感度が特に優れている。ただし,分析原理からわかるように,不明元素全元素の定性分析を行うものではなく,あらかじめ目的元素を決めて照射光源などを選ぶことになる。環境試料中の重金属元素測定によく利用されている。
基底状態の原子なので,磁場をかけると核磁気モーメントによりゼーマン分裂というスペクトル分裂が起きるので,これを利用してバックグラウンド補正を行い精度を高める方法もある。半導体製造プロセスの,たとえば洗浄後液中の金属成分分析にも有効である。また,本分析法の原理を利用して成膜における雰囲気をモニタして膜厚制御にも用いることができる。
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