半導体用語集

反転層容量

英語表記:inversion layer capacitance

 MOSFETの動作はシリコン基板と逆導電性のキャリアを界面に蓄えることを基本においている。この界面キャリア層を反転層と呼ぶ。つまりソースとドレインの間を反転層と呼ぶチャネルが繋ぐというのがMOSFETの動作原理である。この反転層は、ゲート電界によってキャリアが界面に引き寄せられてできるのだが、界面に電子がいくらでも近づけるものではなく、量子力学的には界面直下には電子は存在することはできない。その結果として、電子は界面からわずかに離れたところに分布の中心を持つような、いわゆる二次元電子系を構成する。この電子の分布を正確に決めるには、界面の部分でポアソン方程式とシュレディンガ一方程式を連立させて解かなければならない。結論として、電子は数nmだけ界面から離れたところに分布中心を持つ。これを反転層厚と呼ぶ。このような状況で、数nm厚のシリコン酸化膜を有するMOSキャパシタを考えると、単純に酸化膜厚に逆比例するキャパシタ容量をえることはできない。シリコン側の電子は界面から離れているわけであるから、実効的にゲート電界は酸化膜厚と反転層厚の両方を加えたものをキャパシタの絶縁膜厚として考えなくてはならない。これを容量という見方をすると、酸化膜による容量とシリコン基板側の反転層厚と呼ばれる有限厚による容量の直列接続と考えることができる。この時のシリコン基板側の容量を反転層容量と呼ぶ。これは必ずしも酸化膜の性質と関係したものではなく、シリコン中の電子の量子力学的要請であるが、酸化膜厚が数nmになった時に顕著になる効果であり、酸化膜の薄膜化においては常に考慮すべき本質的現象といえる。

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