半導体用語集

合弁事業

英語表記:Joint Venture : JV

 1990年代半ば以降、半導体メーカー間でのグローバルな合弁事業 (Joint Venture : JV)が盛んに行われてきた。合弁事業を行うメリットは、厳密には出資比率により異なってくる。しかし、一般的には、現地企業と提携した方が、海外進出が容易であること、また、巨額の投資負担を軽減することが可能であることとされている。JVを安易にリスク軽減の一手段ととらえる向きもあるが、その一方で、出資比率を100%以下にした分だけリターンが低下することは明らかである。また、単一企業にくらべて、当然JVは複数の企業の集合体である分、マネージメントが難しくなる。出資企業の思惑が常に一致させることが容易でないことに加えて、どうしても意思決定のスピードが遅くなることは否めない。つまり、マネージメントがうまくいかない場合には、JVのマイナス面が顕在化することもありうる。
 一つの具体例として、米国のTI社の例があげられよう。TI社は、半導体業界の中でも、最もJV設立に積極的な企業の一つであったといえよう。TI社は、1990年代前半に、シンガポールのテック・セミコンダクタ(Tech Semiconductor)(TI、シンガポール政府、キヤノン、HP)、台湾のTI-Acer(TI、Acer、台湾政府)、KTIセミコンダクタ(TIと神戸製鋼所)など、DRAM製造のJVを次々と設立した。しかし、DRAM不況が長引く中で、複数のJVを運営することの難しさが露呈し、1998年には、TI-AcerはJVを解消するに至った。また、日立と立ち上げ中であった
Twin­star Semiconductorについても、提携は解消となった。かつては、TI社のJV戦略は、世界中の半導体メーカーの見本となり、日系メーカー、欧米メーカーは同様のJV設立に奔走した。しかし、今後、一部のJVの中には、TI社と同様の見直しの動きが出てくるものと考えられる。

関連製品

「合弁事業」に関連する製品が存在しません。

関連用語

関連特集

「合弁事業」に関連する特集が存在しません。




会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。