半導体用語集

吸湿性解析

英語表記:simulation of moisture absorption

 半導体パッケージ内の水分吸湿挙動を,数値解析から評価すること。
 プラスチックパッケージを高温,高湿度雰囲気中に放置すると,パッケージ内部に水分が拡散し,アルミ配線腐食,電気特性劣化などを引き起こす。吸湿性解析では,パッケージ内部の水分濃度時聞の変動を求める。解析結果からパッケージ内部の水分の拡がり現象が把握でき,チップ表面上の水分濃度分布から,アルミ配線腐食が発生する場所を予測できる。さらに,えられたダイパッド裏面側の水分濃度からリフロー加熱時のダイパッド剥離領域に作用する内部蒸気圧を算出し,リフロークラック評価に応用される。パッケージ内部への水分の侵入経路を樹脂表面のみとすると,パッケージ内部の水分挙動はフィックの第2法則の拡散方程式(1)で表わす。

 Cは水分濃度,tは時間,Dは樹脂中の水分子拡散係数である。拡散係数は,式(2)で示されるアレニウス型の温度依存性をもつ。

 D₀は定数,kはボルツマン定数,Edは活性化エネルギー,Tは絶対温度である。境界条件としては,パッケージ表面に飽和水分濃度Csを与える。飽和水分濃度は,ヘンリーの法則(樹脂に飽和溶解する水分濃度が蒸気圧に比例する)がなりたつと仮定した場合,式(3)の関係がある。

 φは雰囲気中の相対湿度,Sは水分溶解度係数(単位蒸気圧下において単位体積の樹脂に飽和溶解する水分質量),Psは雰囲気温度での飽和水蒸気圧,Msは飽和吸湿率,ρは樹脂の密度である。一般に,水分溶解度係数の測定は困難であるため,飽和吸湿率と密度から飽和水分濃度を算出する。水分溶解度係数は,式(4)で示されるアレニウス型の温度依存性を持つ。

 S₀は定数,Esは活性化エネルギーである。
 厚さl,面積Aの樹脂平板を恒温高湿中に保管した時のパッケージ内部の非定常水分濃度分布は,式(1)から式(5)となる。

 xは樹脂平板の厚さ中心を原点とした厚さ方向の座標である。
 樹脂平板の吸湿水分量は,式(6)となる。

 パッケージ構造が複雑な場合や加湿条件が一定でない場合では,数値解析で解く。FEM解析の場合,パッケージの吸湿率は,えられた個々の要素の水分濃度をパッケージ全体で体積分することでパッケージの水分量が求まり,水分量をパッケージ乾燥重量で割ることによりえられる。


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