半導体用語集

平坦度(TTV)

英語表記:Total Thickness Variation

平坦度はシリコンウェハなどの平坦さを定量的に示す指標であって、いく つかの指標がJIS (日本工業規格)、 JEIDA (日本電子工業振興協会)、ASTM (American Society for Testing and Materials)、SEMI (Semiconductor Equipment and Materials Internation al)などで定義され標準化されている。平坦度を示す指標は基準の取り方によって、ウェハ全面基準の平坦度(グローバルフラットネス)と区分領域基準の平坦度(サイトフラットネス)の二つがあり、基準面を表 裏のどちらにとるか、基準面を最小2乗近似面にとるか3点平面基準にとるか、値をレンジ(最大一最小差)で表示するかずれ(基準面からの最大変位)で表示するかなどによってそれぞれ異なる指標名称が定義されている。 たとえば,TTVはTotal Thickness Variation(全厚さばらつき)の略で あり,平坦度を表わす指標のうちの一 つであって、概念としての平坦度全体を指す用語ではない。 グローバルフラットネスの指標に は、TTV(GBIR)、TIR(GF3R)、FPD(GF3D)、NTV(GFLR)などがあり、サイトフラットネスには LTV(SBIR)、S-TIR (定義上は SF3Rが該当、ただし現在主流の測定器ではSFQRが充と思われる)などがある。カッコなしがJIS、JEIDA、ASTM標準での名称てられているまたはそれを援用した慣用名称、カッコ内がSEMI標準による名称である。これらの指標名称は、JIS、JEIDA、ASTMでは、その概念の内容に相当する英文の単語列の主要3文字または4文字をとった略表記を名称とし、SEMIではflatness decision tree フローチャートに従って基準面の取り方に対応する単語の頭文字を順番に並べた4文字を指標名称としている。この両者は実質的に同じ内容に異なる表記を充てているにすぎないが、 SEMIの指標にはJIS, JEIDA, ASTMの標準では定義されていないものも含まれている。このように名称が2本立てになっているのは、SEMIがJIS、JEIDA、ASTMでは名称の存在しない指標定義も含めて系統的な名称を付与するという趣旨で1989年の規格改定時に平坦度指標名称のつけ直しを行ったためである。これらの標準化団体は用語についてもできるだけ統一するという基本的な方針を共有しているので、いずれ一本化されるものと思われる。こういった平坦度の重要性は、LSI 製造工程での回路形成が写真技術に深く依存していることによるものであ り、また、定義のバリエーションは用いられる回路焼付装置のピント合わせ方式のバリエーションに起因するものである。
ウェハ面のマクロな様子を示す指標には他にSORI、Bow、Warp(いずれも日本語で言うそりに相当する)があるが、これらは用語としては「平坦 度」ではなく「形状」に区分されている。


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