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半導体用語集

微細構造内洗浄

英語表記：cleaning of fine patterned surface

半導体素子の徴細化、高集積化に伴いコンタクト孔などのエッチング工程で形成した構造物のサイズはますます小さくなる。実際にエッチング工程において孔径0.1μm以下、アスペクト比10以上のコンタクト孔の形成法が議論の対象となってきている。このような微細な孔内に導電材料を埋め込み、良好な電気的コンタクト特性をえるためには、これらの導電材料埋め込み前の孔内の洗浄を的確に行う必要がある。この時の洗浄対象はシリコン表面にパターンがない場合と同様にパーティクル、有機汚染物、金属不純物、そして孔底に成長しているシリコン自然酸化膜である。パーティクルはコンタクト不良、金属不純物はリーク電流、孔底の自然酸化膜はコンタクト抵抗の増大を招くためである。孔内に侵入しているパーティクルは通常のSCI 処理のみで除去しきることは難しいので、メガソニックを印加しながらSCI 処理が行われる。鉄などの金属不純物は洗浄後においても孔内の金属不純物濃度がパターンがない部分のそれよりも約10倍高いことが示されている。これらの原因は洗浄溶液と孔の側壁や底部の間に作用する表面張力の影響で溶液が入り込むことが難しいこと、また入り込めても新鮮な溶液との循環がうまく行われず、ウェハ面内で均一な処理を行うことが難しいこと、さらに洗浄が終了して引き続き行う純水リンス工程で溶液が孔内からうまく排出することが難しいことなどに起因していると考えられる。通常はこれらの洗浄溶液の孔内での置換効率を向上させるために、洗浄溶液の薬液濃度を下げて溶液の粘性を低下させたり、洗浄溶液に界面活性剤を添加してウェハ表面の濡れ性を向上させたり、メガソニックなどの物理的な力を印加したりする。
さらに側壁がBPSG (Boron Phosphorus Silicate Glass ホウ素やリンの添加されているCVDで成立したシリコン酸化膜)膜で形成されている孔の底のシリコン自然酸化膜をフッ酸系の溶液を用いて除去する場合には、これらの間題に加えて自然酸化膜とBPSG膜のエッチング選択比をうまく確保しなければ、BPSGもエッチングされ孔の径を広げてしまう可能性がある。また側壁がBPSGのみではなく、シリコン窒化膜やHTO (High Temperature Oxide; CVDで成立したシリコン酸化膜)との積層構造になっている場合においても、それらの膜との間のエッチング選択比を考慮しなければ、側壁に段差が生じることになり、これはその後の電極埋め込み不良を誘起する。このような孔底の自然酸化膜の除去には通常界面活性剤を添加した緩衝フッ酸溶液が用いられる。前述したようなウェット洗浄の場合に生じる洗浄溶液や、その後に行う純水リンスの孔内での置換効率の低さを根本的に打開するために、気相中で洗浄処理を行い、純水リンスや乾燥工程が不要なドライ洗浄法の適用も検討されている。その他,洗浄後の乾燥をスピン乾燥、あるいはIPA蒸気乾燥を用いて行った場合を比較すると、スピン乾燥の場合の方が導電材料を埋め込んだ後のコンタクト抵抗が大きいことが明らかにされている。これは洗浄工程の最後に行う乾燥において、スピン乾燥では十分孔内の水が除去することができずに、再度孔底のシリコンが自然酸化してしまった可能性がある。さらに孔を形成する際のエッチング工程やイオン注入工程により、孔底のシリコン表面近傍には高エネルギーのイオンの物理的衝撃により形成されたダメージ層が存在する。これはイオンの入射に件いそのイオンや被エッチング物がたたき込まれ、結晶欠陥などにより変質した層である。この層は化学的には不完全に炭化や酸化されているため、フッ酸系溶液処理によりこれを除去しなければならない。しかしシリコンリッチな中間酸化物層はこの溶液理では容易に除去できず、この場のコンタクト抵抗は高いことが報告されている。この時CDE (Chemical Dry Etching)処理を施した後に、フッ酸系溶液処理を施すと、このダメージ層とともにこの中間酸化物層が除去されることが示されている。現在、孔の側壁である層間絶縁膜はシリコン酸化膜をベースとしたものが用いられているが、今後配線遅延を緩和するために、誘電率の低いフロロカーボン膜などが用いられる可能性がある。このように新材科を取り込みながら微細な高アスべクト比の孔を形成し、そこに導電材科を埋め込み、良好な電気的コンタクトを取るためには、単に洗浄工程のみの課題と認識せず、その他のエッチング、イオン注入、絶縁膜のCVD (Chemical Vapor Deposition)、メタライゼーション、CMP (Chemical Mechanical Polishing)などの工程も含めたインテグレーションの課題として取り組んでいかなければならないと考えられる。

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