半導体用語集

成長の異方性

英語表記:anisotropy of growth

エピタキシャル成長は単結晶基板上に基板の面方位と同じ面方位の結晶を成長させる技術であるが、単結晶基板は面方位により、原子密度など性質が異なるため、基板の面方位によりエピ タキシャル成長速度が異なる。これを成長の異方性という。エピタキシャル成長は基板結晶構造を継承しながら結晶格子に原子が組み込まれる反応であ る。したがって、成長速度は成長方位に垂直な面の原子密度と表面エネルギ ーの大きさに依存する。Si結晶の場合原子密度は、{100}面で6.78、 {110}面で9.59、{111)面で 7.82(15.66) (1014 cm-2)で(カッ コ内数字は{111)面の近接している 原子を同一面上にあるとした場合)、表面エネルギーは{100}面で2.13、{110}面で1.51、{111) 面で1.23(103erg・cm2)であり、同一成長条件下では、エピタキシャル成長速度は(110)が最も速く、次いで (100)、 (111)の順になる。この異方性は、エッチング時にも関係する。エッチングでは成長の異方性と逆になり、エッチング速度は(110)、 (100)、(111)の順に小さくなる。成長の異方性によりエピタキシャルウェハに様々な現象が生ずる。バイポーラデバイスではパターンニングされた埋め込み層上にエピ タキシャル成長するが、パターンエッジでは主面方位と異なる面方位が露出しているため、成長の異方性に起因するパターンシフトやパターンだれが生ずる。これらはエピタキシャル成長条件や基板面方位などである程度制御可能である。たとえばパターンシフトはエピタキシャル成長温度が高く成長速 度が遅いほど、また、C1を含まない原料ガスの方が小さく、(100)面が (111)より小さい。また、ウェハのベベルでは基板面方位と異なる方位が連続的に露出しているので、crownと呼ばれる突起が生ずることがあり、特 に厚膜エピタキシャル成長で問題となる。そのため、厚膜エピタキシャル用基板では、通常べベル面に22°程度の テーパをつけ、異常成長が生じ難い面を露出させている。


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