半導体用語集

構造敏感

英語表記:structure sensitivity

 半導体の物性,たとえば電気伝導率や発光効率などは,極微量の不純物の混入,温度変化,熱処理などによって何桁にもわたって変化する。このようにわずかな構造変化によって物性が大幅な変化を示す場合,「構造敏感」という。構造敏感性が現われるのは,半導体には限らないが,たとえば金属では,原子数と同じオーダのキャリアが存在するため,わずかな不純物の混入では,金属の電気的性質は大幅に変化しない。一方,半導体では元々原子数に対して1~100ppm程度のキャリアしか存在しないためppmレベルの不純物や固有欠陥の導入によって,電気的特性や光学特性は大幅な変化を受ける。このため,構造敏感性は,半導体特有の性質として述べられることが多い。
 半導体が有する構造敏感性か現われるのと同じ理由によって,半導体の物性は,外場によって容易に制御することができる。これを巧みに利用したのが,半導体デバイスである。しかし,半導体デバイスを作製する場合,その構造敏感性のため,素子の性能と信頼性の向上の観点から,不純物や固有欠陥を可能な限り減らした結晶が作製できる環境下で,必要な欠陥(不純物) だけを制御して導入して,デバイスを作製することが必須となる。


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