半導体用語集

樹脂流動解析

英語表記:flow simulation of molding compound

 半導体パッケージの封止工程における樹脂充填状態を数値解析により評価すること。
 熱硬化性樹脂をトランスファモールドするプラスチックパッケージでは,樹脂の未充填やボンディングワイヤの変形が起こる場合がある。この未充填やワイヤの変形は,パッケージの信頼性上大きな問題であり,最悪の場合には充填成形ができないという状況に陥る。開発期間の短縮や高信頼性が望まれる中にあって,金型内での樹脂の流動現象を予測することが非常に重要である。そのため,数値解析技術が必要となる。
 パッケージ内での,樹脂の流動部のような薄肉部での樹脂の流れを解析するには,一般化されたHele-Shaw流れが適用できる。つまり,パッケージでの樹脂流動部は非常に薄いため,充填過程では厚さ方向の速度成分を持たないと仮定できる。さらに,樹脂を粘弾性的な性質と圧縮性を考慮しない非圧縮性粘性流体として扱い,粘性力に比較して小さい慣性力は無視できる。流動過程の各時刻で流れは定常であるという疑似定常近似することで,樹脂の圧力Pに関する運動方程式は,粘度µ,x方向流速u, y方向流速vを用いて,次のように表わせる。
(下部添付画像参照)

 方程式を差分法を用いて,解析することにより充填時の樹脂の流動現象を知ることができる。数値解析の手法としては,有限要素法などを用いる様々な手法が提案されている。有限要素法が,解析対象を有限個の要素の集合体として近似し,この集合体に対して成立する方程式を解くのに対比して,差分法は,解析対象内に格子点を定義して各格子点で成立する方程式を差分近似して解く方法である。
 数値解析技術を用いることによって,未充填を予測したパッケージ設計が行える。最近では,フリップチップを用いた構造のパッケージなども開発され,アンダーフィル樹脂充填に対して,高精度な新しい数値解析技術が開発され,パッケージ設計に役立っている。


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