半導体用語集
欠陥・不純物
英語表記:defect / impurity
電子材料としての半導体の持つ最大の特徴は,電気伝導率を何桁にもわたって制御できる点にある。金属材料では,不純物を混ぜたり合金にしたとしても,その電気伝導率を桁違いに変えることはできない。電気伝導率の逆数である抵抗率(または比抵抗)を,シリコン(Si)では,室温で10⁻³から10³Ω・cm程度の範囲内で,また,ガリウムヒ素(GaAs)では10⁻³から10⁸Ω・cmにわたって制御できる。これらは,母体結晶中の残留不純物および欠陥密度を下げたうえで,ドーパントであるドナーまたはアクセプタ不純物をコントロールして添加することで実現できる。また,ドーパントの拡散は結晶中の固有点欠陥を介して進行し,さらに電気的な活性化にも点欠陥が深く関わるため,欠陥の性質を詳細に把握しておく必要がある。すなわち,半導体技術の神髄は,欠陥と不純物の制御にあるといっても過言ではない。
元素半導体であるシリコンと比較して,化合物半導体では欠陥および不純物原子の振る舞いが複雑である。この点を,固有点欠陥を例に考えてみる。元素半導体のシリコンでは,格子位置にシリコン原子のいない空格子点(原子空孔,または単に空孔)と,結晶格子の隙間にシリコン原子が位置する自己格子間原子の2種類とこれらの複合体を考えればよい。これに対し,化合物半導体,たとえはガリウムヒ素では,空格子点・格子間原子ではそれぞれについてガリウムとヒ素原子に関連するものを考えなけれはならない。さらに,ガリウム原子がヒ素の格子点を占めたり,その逆にヒ素原子がガリウムの格子点を占めるような固有点欠陥(アンチサイト欠陥)も非常に重要である。化合物半導体では構成原子間で蒸気圧に大きな差があるケースが多く,化学量論的組成(ストイキオメトリ)からのわずかなずれが欠陥生成に大きく影響する。したがって結晶成長時だけではなく,イオン注入や表面パッシベーション,電極形成などのプロセス時における条件制御が重要である。また,化合物半導体混晶においては,組成の空間的ゆらぎや自然超格子形成あるいはクラスタリングなどの問題があり,これらも化合物半導体に特徴的な欠陥の問題に含めて考えてよいだろう。
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