半導体用語集

正・負イオン交互照射

英語表記:positive/negative Ions

これは、プラズマ中で正イオンと同時に負イオンを生成して、基板を接地電位にして、低周波電力の正と負の振幅により交互に基板に照射させ、結果として中性基板表面で反応を起こす方法である。RIEでは基板へ流入した正イオンによる正荷電を電子で中和するが、本方法では負イオンにより正イオンの荷電を中和する。この考えは、徴細・高アスペクト比化したn+多結晶Siのエッチングにおいて、電子はレジスト付近に捕されるが、イオンは溝底に到達して正にチャージアップすることに起因したn+多結晶Siと酸化膜の界面のノッチ(食い込み)の発生を防止するため重い負イオンを溝底に導き、中和を図ることに発する。負イオンは、ハロゲン元素を含むガスに低エネルギーの電子が付着すると、解離を起こして発生する(C12十eー→ Cl十Clー、SF6十e-→ SF5+F-)。プラズマ中では電子エネルギーが低下した時に負イオンが発生し、パルスプラズマのオフ時やダウンストリーム(下流域)で生成される。C12パルスプラズマの場合は、オフ後約40μsでは 80 %程度負イオンが生成されるダウンストリーム(下流域)では、SF6の場合、下流領域では正と負イオンがはとんど等量生成されるが、Cl2では相当下流でも電子が存在する。そのため、電極の金属に被エッチング基板を直接結合し,交互照射用の低周波をトランス結合で印加した時は、負イオンを引き込めるが、酸化膜や静電チャックなどの絶縁板を介した時は、負の自己バイアス電圧が発生し、負イオンを引き込みが困難となる。その残存電子の除去のため、磁気フィルタなど研究されている。


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