半導体用語集
気相エピタキシー
英語表記:Vapor Phase Epitaxy : VPE
液相エピタキシーと並んで重要な工ピタキシーであり、原料原子の供給が気相を通してなされる。気相密度により原料輸送過程は大きく異なる。基板結晶を取り巻く気相の密度が希薄な場合、結晶表面に供給される原子または分子の流束は、気体分子運動論から成長過程の熱平衡状態を仮定して、
J=(P-P平衡)/(2 pmkT)^1/2
と見積ることができる。ここでP平衡は、結晶と気体が平衡である時の平衡蒸気圧、Pは成長時の気相圧力である。またm、k、Tはそれぞれ分子の質量、ボルツマン定数、気体温度である。(P-P平衡)/P平衡 は過飽和度に比例する量である。
一方、水素や不活性ガスなどをキャリアとして原料分子を原料側から基板側に輸送する気相エピタキシーの場合には、原料輸送過程に結晶基板表面上に生ずる流体力学的境界層が原料輸送に重要な影響を及ぼす。原料ガスは、境界層中を気相拡散により成長表面に供給された後に表面と反応し結晶成長が進む。境界層厚さをd、境界層上の一様流中のガス分圧をPc、基板表面でのガス分圧をPs、原料分子の拡散係数をD、原料分子の基板上における反応係数をK、原料ガスのガス定数をR、境界層温度をTとすれば、定常状態における原料輸送量は、
J=(Pc-Ps)/(d/D+1/K)RT
と表わされる。d/D>1/Kならば、原料輸送が結晶成長速度を決め、その逆では表面での反応速度が成長速度を決める。
結晶表面に到達した原料分子が表面と、または原料分子同士と反応し原子からなる二次元クラスタができ、それが臨界核半径以上になると安定に存在し面成長へと発展する。この核形成頻度は、過飽和度に大きく依存して成長速度を決める。また気相エピタキシーは、原料密度が低い環境下での熱平衡状態に近い反応であるために、比較的精度よく熱力学解析を行うことができる。
具体的な気相エピタキシーには、アンプル中などに原料と基板を別々に封じこめ、温度差、濃度差などと利用して原料原子を基板表面に輸送する閉管法(封管法)と、原料分子をキャリアガスと混ぜて輸送する開管法とがある。気相エピタキシーは、半導体産業できわめて重要な技術となっている。そこで広く用いられているエピタキシーは、主として開管法であり、別項に示すように多種の成長法が用いられている。
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