半導体用語集
気相拡散法
英語表記:vapor Phase diffusion method
固体表面をドーピングガスや蒸気に曝して直接ドーピングする方法。シリコンの場合、高温で表面の酸化膜を除去した後そのままドーピングする方法 (RVD: Rapri Vapor Doping)と、プラズマで表面の酸化膜などを除去して室温でドーピングする方法 (RTVD: Room Temperature Vapor Doping)がある。文字どおりガス状態から拡散させるということは、ポリシリコンへのリンの拡散に長く用いられてきた。またト レンチキャパシタへのヒ素の拡散にも用いられている。
将来のエピタキシャル技術、超格子技術との関連性も強く、洗練された形で使う場合、最も先進的な低エネルギー技術といえる。浅い接合を形成する際に室温といえば数10meVのエネルギーであるから、極限の低エネルギードーピングといえる。RTVDとRTA を組み合わせて20nm程度のごく浅い接合を作成することができる。この寸法はゲート長0.05μm時代に対応できる寸法である。また、MOSの構造ではゲート電極直下の不純物数にゆらぎがあった場合、統計的誤差が直接デバイス特性のゆらぎを惹起する。これを避けるためには超格子状態で原子を配列し、 誤差 を起こさないようにする必要がある。この際に横方向へのマイグレーションを完全に抑えて配列させるためには室温もしくは低温での超格子配列が必要になる。この際に1モノレイヤすべてを不純物原子でカバーすることはそれほど困難なことではない。 化合物半導体 (特にレーザ作成)などでは普通に行われている技術であろう。ところが 1モノレイヤ全面に不純物が付着するとドーズ量換算で1×1015cm-2を越える濃度になる。MOS構造で実際にこの技術が必要となるころには、たとえば完全に制御された形で1×1012cm-2程度の付着を可能にする技術が必要になる。しかも300mmや450mmウェハという広大な面積上で行う必要がある。
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