半導体用語集
水素終端表面
英語表記:hydrogen terminated silicon surface
フッ酸処理したシリコン表面が水素終端されているという発見以来、この系に関して多くの研究がなされてきた。水素のシリコン表面での結合状態の解明という科学的な見地からだけでなく、工業的にもシリコン表面の未結合手(ダングリングボンド)が水素終端されることによって、シリコン表面を汚染から防ぐことができることになり、デバイスプロセスの開発・製造における汚染回避の観点からの意味は大きい。基礎科学的見地からは、水素終端したシリコン表面がどう酸化されていくかということは、現在でもきわめてホットな話題であり、多くの研究者が取り組んでおり、まず表面にある Si-H結合を切断する前に、その下の Si-Si結合にOが入り込む形で酸化がスタートすることが報告されている(バックボンド酸化)。水素終端表面を作成するためには希フッ酸仕上げで処理する。(111)面上においては、バッファードフッ酸(フッ化アンモニウムをフッ酸に加えてpH=9~10に制御したもの)を用いて、水素終端表面と平坦化を同時に実現している。FT-IR-ATR(フーリエ変換赤外全反射反射吸収分光法)によって、(111)面上では理想的なSi-H結合が観測されることがわかっている。一方、工業的に重要なSi(100)面上では、理想的にはSiH₂結合(ダイダイドライド)という形で終端していると考えられるが、実際にはSi-H、Si-H₃結合も混在していることが実験的にわかっている。このことから(100)面では本質的に原子レベルでの凹凸が多いことが予測される。また、きわめて最近、STMを使って水素終端したのをシリコン表面から水素を脱離させる研究において、水素を重水素に変えると結合力が強くなっているという結果がえられた。一方で水素は、MOSのSi/SiO₂界面のダングリングボンドを終端していることも知られているので、上記の結果に基づいて界面のダングリングボンド終端に重水素が使えれば、ホットエレクトロンに対する信頼性向上に効果があることが予測され、実際に実験においてこのことが示された。これは、表面科学とデバイス技術が直接結びついたきわめてよい例であろう。
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