半導体用語集
液晶法
英語表記:Liquid crystal method
液晶塗布法とも呼ばれる。チップ上に塗布した液晶の液晶相から液体相への温度による相転移を利用して,異常発熱箇所を検出することができる。
簡単に手順を説明する。まず,チップ上に溶剤に溶かした液晶を塗布する。顕微鏡の下で偏光を照射し,反射光を偏光子と直角に回転させた検光子を通しで観察することで,ホットスポットが暗い点として観測できる。空間分解能は1µm程度であるが,液晶の塗布ムラがあると悪くなる。
液晶塗布法の感度を向上させる方法としては,偏光を用いる以外に,温度制御する方法,パルス電圧を用いる方法が報告されている。日常の故障解析ではこれらの方法すべてを組み合わせて用いる場合が多い。温度制御によりサンプルの温度を液晶の転移温度直下まで上げておき,徴小な発熱で検出できるようにする。温度制御は簡便な方法として,ヘヤードライヤや電球を用いる方法,専用の温度コントローラを用いる方法が行われている。パルス電圧を与えることで,発熱箇所がリアルタイムで収縮膨張を繰り返し,発見しやすくなる。パルスの周期はリアルタイムでみやすい1Hz前後が用いられる。よく用いられる液晶は転移温度が約40℃のMBBA(Methoxy-Benzylidene Butyl-Anline)である。
現在までに報告されている中で,検出された最少発熱量は3µWであるが,日常の解析ではそれより2桁から3桁悪いようである。
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