半導体用語集
直流(DC)スパッタリング
英語表記:DC sputtering
直流スパッタリングはDCスパッタリングとも呼ばれ,アルゴンなどの不活性ガスのグロー放電によってできた陽イオンを陰極降下電圧で加速して,負にバイアスされたターゲットに衝突させ,その表面から原子を弾き飛ばして膜を堆積する方法である。これは,金やアルミなどの母体金属を陰極とし,薄膜を堆積させる基板を載せた陽極を真空槽に入れる。まず,真空槽を 10⁻³Pa程度以下の圧力に十分排気した後,アルゴンなどの不活性ガスを1~10Pa程度入れる。金属の陰極と陽極との間に1~2kVの直流電圧を印加すると,0.1~5mA/cm²と比較的大きな電流密度の異常グロー放電が起きる。この状態で陰極は正イオンを引っ張るが,飛来した電子は陰極から大体1cmまでの距離で押し戻されてしまう。すなわち,陰極の前面は,正イオンだけで空間電荷層を形成し,陰極降下電圧となって電極間に加えた電圧はほとんどここにかかる。陰極降下電圧の端に到達した正イオンはこの強い電界で加速され運動エネルギーをえて陰極に衝突する。ここで,イオンと運動量の交換をしてターゲット材を弾き飛ばすと同時に二次電子を発生させる。イオンが陰極に衝突した時に飛び出すのは,中性原子や一部イオン化した陰極元素の他に,二次電子,フォトン,X線などがある。これらは基板温度を高めたり,基板に照射損傷を与える原因となり,薄膜の形成には好ましいものではない。このように,スパッタリング法では粒子のエネルギーは約10eVと真空蒸着の場合の0.2eVより大きく基板への付着力も強い。この方法で陰極として使用できるのは金属など低抵抗率の材料に限られる。半導体や誘電体などには,高抵抗率の材料を金属陰極上に載せても,ターゲットが正に帯電してしまい,放電を維持することはできないため,高周波スパッタリングが用いられる。
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