半導体用語集
硫化亜鉛
英語表記:ZnS
結晶構造:閃亜鉛鉱構造ならびにウルツ鉱構造をとる。格子定数:0.54093nm(閃亜鉛鉱構造)。a=0.3820nm,c=0.6260nm(ウルツ鉱構造)。バンド構造:直接遷移型。エネルギーギャップ:3.78(3.83)eV(19K),3.54(3.68)eV(RT)(閃亜鉛鉱構造)。3.91eV(4.2K),3.76(3.80)eV(RT)(ウルツ鉱構造)。スピン軌道分裂エネルギー:0.062eV。有効質量:伝導帯mc*/m₀=0.27(0.34),重正孔帯mhh*/m₀=0.49(1.76),軽正孔帯mlh*/m₀=0.23(閃亜鉛鉱構造)。有効質量:伝導帯mc*/m₀=0.28(ウルツ鉱構造)。ルッティンジャパラメータ:γ₁=2.54,γ₂=0.75,γ₃=1.09(閃亜鉛鉱構造)。比誘電率:ε(0)=8.14(8.9),ε∞=5.13(5.7)。励起子束縛エネルギー:35.7meV(閃亜鉛鉱構造),40meV(ウルツ鉱構造)。励起子分子工ネルギー:9meV。励起子-フォノン結合因子:130meV。フォノンエネルギー:LO=42meV,TO=37meV。変形ポテンシャル:a=-6.40eV(ac=-4.09eV,av=2.31eV),b=-0.75eV。弾性定数(×10¹¹ dyne/cm²):c₁₁=10.67,c₁₂=6.66,c₄₄=4.56。熱伝導率:0.27W/cm・K。熱膨張係数:6.7×10⁻⁶/K(RT)。融点:1,722℃。
ZnSはGaAsやGaP(001)基板上に薄膜成長した場合には閃亜鉛鉱構造をとる。格子整合の観点からは,GaP基板が好ましく,GaAs基板上では格子整合させたZnS₀.₀₆Se₀.₉₄混晶として主に用いる。ZnSはブラウン管用の蛍光体としても実用化されている。特に閃亜鉛鉱構造ZnSにAgとClを添加した蛍光体は青色(450nm),CuとAlを添加した蛍光体は緑色(530nm)のドナー・アクセプタ対発光を示し,ともに効率が20%前後と高く優れている。このような電子線励起によるカソードルミネッセンスの他に,ZnSはエレクトロルミネッセンス(EL)の母体材料としても使用される。前述のドナー・アクセプタ対の発光の他に,Mn発光中心を添加したELは波長~580nmの黄橙色の発光を示す。特にZnS:Mn²⁺を用いたAC駆動薄膜ELパネルは輝度の低下のない安定な動作がえられ,すでに実用化されている。
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