半導体用語集
磁気トンネル効果
英語表記:magneto-tunneling effect
電子の動力学な半古典的モデルにおいては、静磁場中におかれた結晶中の電子は、k-空間において磁場に垂直な平面上の等エネルギー曲線に沿って運動し、その運動は ħ(dk/dt)=-(e/ħ)[∂εn(k)/∂k]×B によって記述される。ここでεn(k)は結晶のバンドを表わし、nはそのバンドの指標である。このように結晶のバンド構造をもとにした半古典的モデルは、暗に、外場によって電子が異なるバンドn'へ遷移する可能性を無視しており、したがって外場が結晶ポテンシャルにくらべて、十分弱い場合にのみ正しい記述となる。一方、非常に強い磁場のもとでは、電子の軌道は自由電子と同じサイクロトロン軌道となり、結晶のポテンシャルはそれに対する小さな摂動として働く。このように結晶のバンド構造を基にした記述が強磁場で崩壊することを、磁気崩壊(magnetic break down)という。例として、金属において、開いた軌道と閉じた軌道は、弱磁場ではそれぞれの別の運動を与えるが、強磁場ではこれらの軌道は連結して自由電子のサイクロトロン軌道へと移行する。このようなバンドの連結は、k-空間で離れた二つのバンドの間を磁場によって電子がトンネルすることによって起こり、これを磁気トンネル効果という。これが起こるのは、磁場によって生じる運動量の不確定性が、二つのバンドのk-空間における距離の程度になった時であり、その条件は近似的に ħωc>ε²g/εFによって与えられる。ここで、εgはバンド間のエネルギーギャップ、εFはフェルミエネルギーである。なお、半導体においては、エサキダイオードや二重障壁構造などにおける電子のトンネル確率が、磁場によって変化することを指して磁気トンネル効果という場合もある。
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