半導体用語集

薄膜化限界

英語表記:oxide thinning limit

 酸化膜の限界論はかなり昔から行われてきたが、本質的な限界論は最近の 1∼2nmの酸化膜が現実的に議論されるようになってからである。また、アプリケーションによっても限界は異なることにも注意しなくてはならない。まず、酸化膜破壊の立場からみてみると、スペックをどこに置くかにもよっている。フラッシュメモリにおけるトンネル酸化膜の場合には、デバイスの不揮発性というスペックからストレス誘起リーク電流(SILC)が薄膜化限界を与え、現状の膜では8nmが限界といわれている。つまり、不揮発性メモリではリテンション特性、リードディスターブ特性が主要な問題であることを示している。論理デバイス用高性能MOSFETにおいてはMOSFET自身の動作限界を与えるという意味ではなく、その世代で使われるLSIの規模に基づいてスタンバイパワーから許容されるリーク電流とか、その世代で使われる電源電圧下で10年間酸化膜の信頼性を確保させなくてはならないということから決められる。その意味で薄膜化リミットという値だけを一人歩きさせることは危険であり、以下に最近報告されている信頼性からの議論を述べるが、前提が何かを常に考應しながらとらえる必要がある。酸化膜の薄膜化限界を何で評価するかは、それ自身が議論のあるところである。最後にゲート絶縁膜の寿命を決めるのはやはり絶縁破壊であろう。ゲート絶縁膜を薄膜化した場合には、それと比例して電源電圧を低下できることが望ましいのだが、トランジスタには微細化とともに性能の向上が求められており、酸化膜はできるだけ薄膜化して、電源電圧は下げたくない。ここに限界をいうことの難しさがある。電源電圧のトレンドが、いわゆるSIAのロードマップに従うとすると、その電圧と酸化膜厚との関係の中で、信頼性保障の解が存在するかということで限界を定めることができる。最近、いくつかの研究機関で、上記の立場から限界を見積った結果が発表されており、それによると、約2.5∼3nm当たりで酸化膜は絶縁破壊に対する信頼性の確保ができなくなるという結果が報告されている。もうすこし分析的な限界論をする場合もあるが、その場合には物理分析自身の限界も考慮しなければならないので注意が必要である。たとえば、EELSを用いた酸化膜の電子状態の計測から、両界面からの波動関数の浸み出しという本質的限界として0.7nmという厚さも報告されている。いずれにしても、1nm付近でCMOS動作は実験的に確認されており、限界はLSI化した時の使用電圧を考えた信頼性という観点から議論される必要がある。

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