半導体用語集

表面修飾

英語表記:surface decoration

 GaAsやGaPなどの化合物半導体では,表面に高密度のダングリングボンドが存在し,また,表面欠陥,酸素や他の金属原子の吸着などによりきわめて高い密度の表面準位が,価電子帯最上部からバンドギャップの約1/3のエネルギー位置に存在することが知られている。この表面準位は,表面障壁やショトキ障壁,金属-絶縁体-半導体(MIS:Metal Insulator Semiconductor)構造,励起した電子-正孔対の寿命などに影響を及ぼし,化合物半導体の広汎なデバイス応用を妨げている。シリコンでは熱酸化により,界面準位密度が低く,絶縁膜として均一で良質の酸化シリコン薄膜が形成できたことがシリコンMOSFETの実用化を支えた。
 化合物半導体でも,ダングリングボンドと化学結合をして表面を終端するとともに,他の原子・分子の吸着に対し表面を不活性化するような原子を表面に吸着する(表面修飾)研究が行われている。たとえば,GaAsの(001)表面を(NH₄)₂Sxで表面処理すると,GaAsの表面再結合速度を減少させ光励起による発光強度が増大することや,ショトキ障壁高さの金属依存性の増加が報告されている。これらは,表面をイオウで修飾することにより表面(界面)準位密度が減少して,フェルミ準位のピニング傾向が弱まったことによるとして理解できる。さらに,表面における酸素密度も低くなり,また,酸化反応に対して不活性になることも報告されている。


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