半導体用語集

表面効果

英語表記:surface effect

 半導体表面には,結晶を形成していた化学結合が切断されてできるダングリングボンドが高密度に存在する。特に,化合物半導体ではダングリングボンド,吸着原子,欠陥などにより,半導体表面,半導体-金属界面,半導体-絶縁物界面,異種半導体間の界面のバンドギャップ中に表面(界面)準位が一般的に存在する。また,化合物半導体でリソグラフィとスパッタエッチングの組み合わせなどにより微細加工を行う時にも,加工表面から欠陥の多い領域が表面付近に広がり,半導体特性に決定的な影響を及ばす。
 表面(界面)準位が高密度に存在する場合には,フェルミ準位が表面(界面)準位により固定(ピニング)され,たとえば,MOS電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)において,ゲート電圧により半導体界面付近の伝導帯と価電子帯がエネルギーの低い方向に押し下げられる電界効果が影響を受け,反転層が形成されなくなる。実際に,シリコンと酸化シリコン界面の界面準位密度は10¹⁰/cm²eVまで減少できるが,ヒ化ガリウムGaAsの場合にはこれより1桁ないし2桁高い界面準位密度しか実現されておらず,GaAsの金属-絶縁体-半導体(MIS:Metal Insulator Semiconductor)FETを製作する障害になっている。
 また,異なる半導体の表面が接する構造を持つへテロ接合では,一般の欠陥の他にも,格子定数が一致しない場合には,界面における原子間隔の不一致による格子欠陥が存在し多数の界面準位が発生する場合がある。界面準位密度がきわめて高い場合,フェルミ準位のピニングが起こり,ちょうど両半導体間に金属の薄膜を挟んだような等価回路になる。理想的にはないはずのGaAs表面における表面障壁や金属種によって異なるはずの半導体-金属界面のショットキ障壁も高密度の表面(界面)準位によるフェルミ準位のピニングに影響を受ける。


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