半導体用語集
表面格子欠陥
英語表記:surface lattice defect
結晶表面上の原子配列が理想的な周期的配列から乱れている時、乱れた箇所を表面格子欠陥と呼び、結晶内バルク格子欠陥と区別する。結晶内バルク格子欠陥と同様に、表面格子欠陥には様々な型の点状の点欠陥、線状の線欠陥が存在する。表面の点欠陥の代表例として、あるべき位置から表面原子の抜けた空格子点、余分の原子が表面に吸着した吸着子、表面再配列した表面での再配列構造の乱れがある。線欠陥としては、結晶表面原子層の高さが異なって生じる原子ステップ、再配列ドメイン間の再配列の位相がくい違って生じる位相境界などがある。結晶内に生したらせん転位が表面に現われるとらせん軸を端とする原子ステップが生し、刃状転位が表面に現われると原子配位数が異なった点欠陥が生じる。表面格子欠陥は原子配置が乱れているので一般的に不対電子を持ちやすく、化学的に活性な場合が多い。吸着、結晶成長、酸化工ッチングなどの表面化学反応は表面格子欠陥から進行することが多く、表面格子欠陥の制御は工学上、重要である。表面格子欠陥は熱処理などの表面清浄化過程、スパッタリングなどにより生成されるが、表面格子欠陥はエネルギー的に不安定であるので、結晶のアニーリングにより欠陥濃度を減らすことが可能である。多くの表面格子欠陥はランダムに存在するので、観測には回折像ではなく原子分解能を持った実空間観察が必要となる。超高真空電子顕微鏡、走査型トンネル電子顕微鏡(STM)、原子間カ顕微鏡(AFM)などにより、表面格子欠陥の原子構造が解明されつつある。 たとえば、清浄なSi ( 100) 面の STM観察では、Si原子が1個抜けた C欠陥、2個のSi原子対 (ダイマー) が抜けたA欠陥、ダイマー列方向の 2個の隣接ダイマーが抜けたB欠陥の
3種類の空格子点がよく観測されている。
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