半導体用語集
誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)
英語表記:Inductively Coupled Plasma - Mass Spectrometry
元素分析法の一つで,超微量成分分析法の代表的手法。誘導結合プラズマにより微量元素をイオン化して,質量分析計で分離定量する方法。半導体製造工程で使用される各種高純度材料の不純物の分析を始め各種工業材料,環境汚染測定などに広く使用されている。検出感度は試料検液濃度で0.1~1pptレベル。
装置は,試料導入部,誘導結合プラズマ,サンプリングインタフェース,イオンレンズ,質量分析計から構成される。誘導結合プラズマは,石英製の直径約2cmの三重管構造の放電管にArガスを流し,放電管の外側から27MHzまたは40MHzの高周波を誘導コイルにて加え,生成したArの大気圧プラズマである。このプラズマは直径2cm,長さ4cm程度のトロイダル形状で,4,000~7,000Kの熱平衡に近い高温のプラズマである。試料は試料導入部から霧状にして放電管の中心管からプラズマに導入する。プラズマで加熱分解され分子や原子に解離,イオン化される。イオン化した試料を含むプラズマを質量分析計に導入する部分がサンプリングインタフェースとイオンレンズである。サンプリングインタフェースは2段の差動排気オリフィスで構成され,酸化物生成などの副反応が起こらないように,高温の大気圧プラズマを減圧して効率よくイオンレンズに導く要素で本法特有の部分である。イオンレンズはイオンを集束して質量分析計に効率よく試料イオンを導入する機能とバックグラウンドとなる中性粒子と光を除去する機能を持っている。質量分析計は四重極質量分析計,二重収束型質量分析計が用いられる。分子イオンによるスペクトル干渉を避けるために二重収束型質量分析計が優れているが,安価で操作が容易な四重極質量分析計型の方が一般的である。
試料は酸分解などの前処理を加え均ーな溶液にしてから装置にかける。均一な溶液にできれば固体,気体,液体を問わず,定性,定量分析ができる。溶液分析であるため,検量線作成試料が容易に調製でき,検量線法により正確な定量ができる。また,質量分析の特性から,安定同位体がえられれば,同位体希釈法により高精度な定量ができる。
測定可能な元素は原理的に,プラズマ構成元素,試料溶媒構成元素を除くすべての元素であるが,現実的には使用装置の分解能で制限され,溶媒やプラズマ構成元素による分子イオンの重なりが制限となる。測定条件の工夫により一部改善でき,プラズマ起因の分子イオン干渉を軽減し,Fe,K,Caの高感度定量が,最近四重極質量分析計型装置で可能になった。
本分析法によるデータの誤差は,主に,分子イオンの干渉と試料前処理,測定過程での試薬,容器,雰囲気からのコンタミネーション,および共存物によるマトリックス効果によって生じる。装置運用上は,これらの要因に対する管理が重要となる。
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