半導体用語集

誘起欠陥・損傷

英語表記:damage, defect

基板構成原子より質量の軽いイオンが注入された場合には、入射の初期には主として電子阻止能が働き徐々にエネルギーを失うため、この間はあまり損傷は発生しない。しかし、イオンが減速されると核阻止能の働きが大きくなり、イオンは基板原子を変位させるとともに大角散乱によりその方向が変えられる。その結果、損傷は平均投影飛程(Rp)付近に高濃度に分布する。これに対して、基板構成原子より重いイオンでは、基板に入射されるとすぐに核阻止能が働き、表面近傍の原子を変位させる。そのため、損傷の分布は注入イオンの分布より浅い位置にピークを持つ。イオン注入による損傷を積極的に利用した例として、ゲッタリングや単結晶基板内の非晶質化がある。イオンのエネルギーが原子に与えられ、それが瞬間的に熱エネルギーとして解放されると、試料が局所的に融点以上に加熱される。このことは、試料が超短時間(~5×10-12秒)に局所的に超高温加熱と超急冷を繰り返すことになり、熱スパイクと呼ばれている。


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