半導体用語集

赤外全反射分光法

英語表記:attenuated total reflection

 赤外反射分光法は半導体・金属・有機物質などの定性定量分析に使われる手法の一つである。半導体表面を詳細に測定するには反射分光法を進展させた全反射分光法を用いることが多い。赤外光を高屈折率媒質を通して低屈折率媒贋の試料表面に入射させ,かつ入射角が臨界角よりも大きくなる条件とすれば高屈折率媒質と低屈折率媒質の界面で全反射が生じる。入射波と反射波は互いに干渉し,界面で定在波を形成する。この定在波は試料中に滲み出すため,試料表面に赤外光を吸収する物質が存在すれば全反射光の強度は減少する。すなわち試料表面のある種の吸収スペクトルがえられることとなる。
 具体的には試料表面に透明な高屈折率プリズム(KRS -5,Ge,ZnSeなど)を密着させることにより表面層の全反射分光測定を行う。全反射条件,すなわち反射による光の損失がないため,試料表面で多数回の反射を行わさせ信号強度を拡大することができる。半導体表面における吸着物質や表面準位の測定などに用いられている。
 全反射分光法においては,分析領域の深さを高屈折率プリズムの種類あるいは入射角を変えることで制御することができる。入射角度が大きいほど,あるいは高屈折率プリズムの屈折率が大きいほど,光の滲み込む深さ(分析深さ)は浅くなる。したがって一つのプリズムで入射角度を変えるか,入射角度を固定しプリズムの種類を変えて測定すればいろいろな深さにおける吸収を調べることができる。深さ方向の変化を非破壊で測定する有力な手法である。


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