半導体用語集
転位の固着
英語表記:locking of dislocation
結晶中の転位の運動が、結晶中に固溶する不純物によって阻害され、固定化されることをいう。シリコン結晶中の転位の固着効果を示す不純物としては、酸素、窒素、ホウ素などが知られている。酸素による転位の固着の機構は、次のように考えられている。CZ-Si中での60°転位の運動速度は、低いせん断応力の下ではFZ-Siより遅くなり、3MPa以下では転位は運動を停止する。この現象は転位の運動のための臨界応力(固着応力)が存在し、格子間酸素濃度に依存することによる。酸素は転位に優先的に集積して析出することにより転位を固着すると考えられている。こうした転位の周囲の歪場にCZ-Si中の酸素は引き寄せられてCottrell
雰囲気を作って転位を固着・不動化する。転位上での酸素析出の発達は、1,300℃での容体化処理後には酸素は結晶中に固溶するので、転位のみが観察されるが、900℃の熱処理を追加した後の観察で、転位上で析出物(SiO2)が転位上のみに成長しその間の距離の増加が確認されている。転位と酸素の集合体の相互作用エネルギーは3eV程度であることが、その場観察の実験でえられている。固着効果はホウ素などの添加不純物によっても起きる。1×1016cm-3以下では不純物による差は小さいが、1×1017cm-3以上では固着による転位の運動速度は著しく低下する。窒素による転位の固着効果は、窒素濃度が1×1015cm-3程度以上で確認されている。
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